代名動詞

 

n         ラテン語から派生した、イタリア語・スペイン語・フランス語などで、共通してみられる動詞表現。

n         簡単な(日常よく使われる)行為の動詞表現によく使われる。

n         少しまわりくどい言い方だが、慣れると簡単。

 

【大体の考え方】

 

 Je couche mon bébé. ・・・(1)

 

  coucherという動詞は「寝かせる」という意味

  よって、上の文の意味は、

  「私は赤ちゃんを寝かせる」となる。

 

  では、次の文はどうだろうか?

 

 Je me couche. ・・・(2)

 

  (1)の文では目的語が、mon bébéであったのが、

  (2)の文では、meとなっている。

 

 文の形どおりに意味を考えると、

 

  「私は私自身を寝かせる」となる。

  つまり、「私は寝る」という、日常よく使う動詞表現になる。

 

  英語で、Iという主語に、meという目的語がきているような文だ。

  この点があまり英語にはない表現だ。しかし日常会話の中には、

  少しまわりくどいこの表現がよく使われるので慣れること。

 

他に、

 

 Je me lève à sept heures.

私は7時に自分を起こす→私は7時に起きる

 Je me maquille tous les matins.

       私は毎朝自分に化粧をする→私は毎朝化粧する

 

【形態】さて、代名動詞表現の形をみていこう!

 

 se coucher という表現を例にとる

 

 辞書を是非引いてみよう!

 

   <次のような項目があるはずだ>

 

n        []動詞として「寝かせる」

n        []動詞として「寝る」

      この「寝る」は男と女が「寝る」という特別な意味

n        se coucher (=go to bed)[代・動]「寝る」

      これが日常的動作「寝る」の意味で使う代名動詞表現

 

     この se 動詞>の形で見出しになっている項目が、

     代名動詞の説明である。

 

【肯定形】もちろん直説法現在

   基本なのでしっかり学ぼう!

 

je(ジュ)  me()  couche(クッシュ)

nous()  nous()  couchons(クッション)

tu(チュ)  te(トゥ)  couches(クッシュ)

vous()  vous()  couchez(クッシェ)

il(イル)  se()  couche(クッシュ)

ils(イル)  se()  couchent(クッシュ)

elle(エル)  se()  couche(クッシュ)

elles(エル)  se()  couchent(クッシュ)

 

    動詞の前に主語と同じもの意味する目的語人称代名詞(これを

再起代名詞と呼ぶ)が使われてますね。

je = me / tu = te / nous = nous / vous = vous

それ以外の3人称の主語=se

    それで「自分自身を寝かせる」で「自分が寝る」という意味に

になります。

 

【否定形】

  

je(ジュ) ne() me() couche(クッシュ) pas()

nous() ne() nous() couchons(クッション) pas()

tu(チュ) ne() te(トゥ) couches(クッシュ) pas()

vous() ne() vous() couchez(クッシェ) pas()

il(イル) ne() se() couche(クッシュ) pas()

ils(イル) ne() se() couchent(クッシュ) pas()

elle(エル) ne() se() couche(クッシュ) pas()

elles(エル) ne() se() couchent(クッシュ) pas()

 

     me, te, nous, vous, seは、一応目的語人称代名詞なので、

   動詞の直前に置くので、ne pasの位置に注意!

 

【疑問形】

 

   Tu te couches si tôt.  きみはそんなに早く寝る。

 

という文を疑問文にするには、いつものように、3通りの言い方がある。

 

(1)         イントネーション

 

     Tu te couche si tôt?

 

(2)         Est-ce que ... ?

 

      Est-ce que tu te couches si tôt?

 

(3)         倒置

 

      Te couches-tu si tôt?

 

【肯定命令形】

  日常会話で非常によく用いられる!

 主語が、tu, nous, vousの形から作る

 

  Tu te couches.

      主語tuを取ってteを動詞の後に移す

       このとき、teは、toiになる

                    Couche(クッシュ)-toi(トワ).

                        意味:おまえ自身を寝かせろ

                             →寝ろ

Couchessは落ちるよ、ミスプリではない

 

  Nous nous couchons.

      主語nousを取ってnousを動詞の後に移す

                    Couchons(クッション)-nous().

                        意味:私たちを寝かせましょう

                             →寝ましょう

 

  Vous vous couchez.

      主語vousを取ってvousを動詞の後に移す

                    Couchez(クッシェ)-vous().

                        意味:あなた自身を寝かせてください

                          →寝てください/寝なさい

 

【否定命令形】

  これは基本的に上の否定形の主語を落とせばいいので、簡単!

 

  (tu) Ne te couche pas.

             寝るな。

  (nous) Ne nous couchons pas.

             寝ないでいよう。

  (vous) Ne vous couchez pas.

             寝ないでください。

 

【複合過去形】

¨         助動詞は、êtreを使います

¨         過去分詞は、主語あるいは再帰代名詞と性・数一致する

(ただし、再帰代名詞が間接目的語の場合は、一致させる必要なし)

 

je(ジュ)  me()  suis(スュイ)  couché(クッシェ)(e)

nous()  nous()  sommes(ソム)  couché(クッシェ)(e)s

tu(チュ)  t’es()  couché(クッシェ)(e)

vous()  vous()  êtes(ゼット)  couché(クッシェ)(e)(s)

il(イル)  s’est()  couché(クッシェ)

ils(イル)  se()  sont(ソン)  couchés(クッシェ)

elle(エル)  s’est()  couchée(クッシェ)

elles(エル)  se()  sont(ソン)  couchées(クッシェ)

 

  ex. J’ai encore sommeil.

         まだ眠たいよ。

       Je me suis couché(e) très tard.

     遅く寝たんだ。

 

  ex. Paul et Marie, ils se sont téléphoné.

     ポールとマリーは、電話をかけあった。

(過去分詞が性・数一致していないことに注意!

téléphoner à ... というように

この動詞は間接目的語をとる動詞だから)

 

【他の例】

ここまでは、se coucher という代名動詞表現を例にとって、すべての形を説明してきましたが、他の例を少し見てみます

 

 ex. Je me repose dans ma chambre.

    (se reposer : 自分を休ませる→休む、休養を取る)

     私は寝室で休みます

 

 ex. Ils se promènent tous les matins.

    se promener : 自分を散歩させる→散歩する

     彼らは毎朝、散歩します

 

 ex. Vous vous trompez de route.

    se tromper de ... : 自分を誤らせる→...を間違う

     あなた(方)は、道を間違っていますよ

 

 ex. Elle s’est mariée avec un homme riche.

  se marier avec ... : 自分を...に結びつける→...と結婚する

     彼女は金持ちの男と結婚した

 

【用法】

ここで、代名動詞表現の4つの用法を説明します。上の方で説明した基本的な考え方とは違う用法も出てきますの注意して見ていきましょう!

 

 (1)   再帰的用法

    (これは冒頭の【大体の考え方】で説明した用法)

    自分に行為がブーメランのように戻って来るので、再帰的用法

 

  Je me lève à sept heures.

   私は7時に起きます

   (se lever : 自分を起こす→起きる)

 

  Il s’est brûlé hier.

   彼はやけどした

   (se brûler : 自分を燃やす→やけどする)

 

  Je me brosse les dents.

 

brosser : 磨く/dent(s):

意味は、「私は歯を磨く」になる

英語のように、

  I brush my teeth. とは言えない

フランス語では、直接目的語が体の一部分のとき、その前に所有形容詞をつけることを避けます

 × Je brosse mes dents.

mesが使えないので、「自分の歯を」という部分を代名動詞で言います

 ○ Je me brosse les dents.

 

    (2)以降は、応用的用法になります

 

 (2)   相互的用法

    主語はpl.(複数)で、「(お互いに)・・・し合う」

 

  Sophie et Marie, elles se téléphonent tous les soirs.

   ソフィーとマリーは、毎晩電話をかけあっている

   (se téléphoner)

 

  Françoise et Kenji s’écrivent depuis un an.

   フランソワーズとケンジは一年前から文通している

   (s’écrire : お互いに手紙を書く→文通する)

 

 (3)   受動的用法

    主語は<物・こと>の場合が多く、「・・・される」

 

  Le français se parle au Québec.

   フランス語はケベック州で話されている

   (se parler)

 

  L’histoire se répète.

   歴史は繰り返される

   (se répéper)

 

 (4)   本質的用法

    形だけは代名動詞で、熟語的表現といえるもの

 

  Je me souviens bien de mon enfance.

   私は子供時代のことをよく覚えています

   (se souvenir de ... : ... を覚えている)

 

  De quoi vous servez-vous pour manger?

   あなたは食べるのに何を使いますか?

  −Je me sers de baguettes pour manger.

   −私は食べるのにお箸を使います

   (se servir de ... : ... を使う)