2015年
01/04  母校の名画:価値数億円? 村山槐多「乞食と女」捜索中

大正期の洋画家、村山槐多(1896〜1919)の油絵「乞食と女」を出身校の旧制京都第一中学校(現京都府立洛北高校)のOBらが捜しているとのこと。槐多の死後に同級生らが買い戻し、1920年に同中に寄贈されたが、戦後の混乱の中で所在不明になった。先月から実物を見たことがあるOBらが、画集をもとに原寸大の複製画を洛北高で展示。「所有者や目撃者が名乗り出てくれれば」と期待する。
不明の絵画は縦165センチ、横66センチ。並木を背景に、和服姿の女性が道端の少年に施しをする様子が描かれている。1917年までに描き上げられ、作家の有島武郎が愛蔵した時期もあったとされる。
OBの一人によると、少なくとも1938年から数年は学校の講堂に飾られていたが、戦後学制改革の混乱の1948年、図画の準備室から額だけ残して何者かが持ち去ったという。

毎日新聞より。

01/07  70年ぶり、胎内仏と戻る 京都・霊源院の円月坐像

京都市の建仁寺塔頭の霊源院に、中巌円月坐像(重要文化財)と胎内仏の毘沙門天立像が7日までに、約70年ぶりにそろって戻った。霊源院の修理などのため、京都国立博物館に収蔵されていた。
霊源院によると、坐像は南北朝時代の高僧中巌円月を模した木造で、高さ約81センチ。作者は不明。1945年ごろ、修理保全のため同博物館に預けられた。90年代中ごろの修理中、像内から鎌倉時代の慶派仏師作とみられる高さ約37・5センチの毘沙門天立像が見つかった。

共同通信より。

01/08  関東大震災、美術品数百万点焼失し被害数千億円

1923年(大正12年)の関東大震災で、円山応挙、狩野探幽など近世の日本絵画を中心に、数百万点に上る美術工芸品が焼失し、被害総額が現在の価値で数千億円にのぼるとみられることが明らかになった。震災直後、美術工芸品の所有者に被害を聞き取り、まとめた目録を内田俊秀・京都造形芸術大名誉教授(保存科学)が分析した。
内田名誉教授が基にしたのは、33年刊行の「罹災美術品目録」。東京美術学校(現・東京芸術大)の校長だった正木直彦らが設けた美術団体「國華倶楽部」が、美術史学者らに調査を委嘱して1年余り調べた結果として、269の個人・団体が所有していた4853件の美術工芸品などが記録されている。内田名誉教授は95年の阪神大震災後、絵画や工芸品などの防災研究を進める過程で目録の存在を知り、2009年から分析を進めた。

読売新聞より。

01/13  風神雷神図屏風を再現へ 京都の会社、琳派400年で精密印刷

今年の琳派400年記念祭に合わせ、京都市中京区の美術印刷会社「便利堂」が尾形光琳「風神雷神図屏風」(重要文化財、東京国立博物館所蔵)の精密な複製品の制作と公開を計画している。再現性に優れた伝統技法のコロタイプ印刷を用いる。琳派の系譜を象徴する名作の迫力を、ゆかりの京都で間近に鑑賞してもらおうと企画した。
俵屋宗達の絵を光琳が模写した風神雷神図屏風は、もともと酒井抱一の「夏秋草図屏風」(同博物館蔵)と表裏一体だったが、現在は作品保護のため分離されている。便利堂は夏秋草図屏風の複製を2年前に手掛けており、今回の複製品では本来の屏風の姿を再現する。近く実行委員会をつくり、今秋に完成させるとのこと。

京都新聞より。

01/14  青木繁の美麗かるた、東京の民家で保管 百人一首と漢詩、400枚を仲間と手作り

洋画家、青木繁(1882〜1911)直筆の「かるた」一式が東京都内で見つかったとのこと。青木が東京美術学校(現東京芸大)時代に手作りしたもので、百人一首と漢詩かるたの2種類。200枚ずつ一式が全てそろっている。いずれもデザイン性に富んでおり、明治ロマン主義を先導した青木の美的感覚と、古来の文化を愛した精神性を示す貴重な作品として注目される。
青木は1903年から1年ほど、東京・本郷の下宿で生活。同郷の友人で洋画家の坂本繁二郎(1882〜1969)や後輩の画学生、安藤東一郎らが集まり「青木グループ」を形成していた。
今回見つかった一式は、安藤が保存していたもので、1963年ごろ都内の内科医に譲り渡した。添えられた手紙には「長く記念に私の手元にあったが、世に埋もれてしまう恐れがある」と手放す理由が書かれていた。72年に開催された青木の生誕90年記念の展覧会で展示された記録があるが、行方知れずになっていた。昨年、内科医の自宅で見つかり、テレビ番組が紹介。同年末に植野健造福岡大教授(美術史)が青木直筆であることを確認した。
かるたはいずれも文字のみで、それぞれ読み札100枚、取り札100枚。安藤の手紙によると、青木が墨で字を書き、坂本ら仲間5人が紙を切り、のりを使って制作したという。

西日本新聞より。

01/21  重文72件、新たに所在不明 国宝は刀剣2本

文化庁は21日、国の重要文化財に指定された美術工芸品の所在に関して、追加調査の結果を発表した。昨年7月の前回発表時点で調査中としていた238件のうち、国宝の刀剣2本を含む72件が所在不明となっており、68件は調査継続中とした。ほかは所在が判明している。
一方、前回発表で所在不明だった重文の「紫宸殿蒔絵硯箱」(香川県)は、所有者からの連絡で確認できたという。これにより重文の美術工芸品1万524件の中で、所在不明は前回分と合わせて180件(うち国宝は刀剣3本)となった。

共同通信より。

01/22  イタリア警察、盗掘古美術品5000点超を押収 62億円相当

AFPBB Newsより。

01/23  ポキリ! ツタンカーメン王「黄金マスク」のひげが折れる 修復もずさん エジプト

産経新聞より。

01/24  存続揺れる近代美術館鎌倉館 県教委の調査結果公表

戦後日本のモダニズム建築の代表的な建物とされる神奈川県立近代美術館鎌倉館の存続問題で、県教育委員会は23日、今後の扱いを検討するために行った建物調査の結果を公表した。存続させる上で焦点となる耐震補強工事の可否に関しては「(鶴岡八幡宮境内の)地下遺構を損なわずに実施することは可能」とした上で、工事する場合の概算費用を約2億1千万円と算出した。
同館が立つ鶴岡八幡宮と県との借地契約は2016年3月末に満了する。返還時は更地にする契約になっているが、県教委は今回の結果を踏まえ、建物を補強して鶴岡八幡宮に引き継げないか、保存・活用の可能性を協議していく。
同館は、世界的な建築家ル・コルビュジエの弟子に当たる故坂倉準三の設計で、1951年に日本初の公立近代美術館として開館。これまでに日本建築学会や日本建築家協会、鎌倉市民などが「モダニズムの代表的建築物と歴史的景観の組み合わせ、たたずまいは国内で類を見ない重要なもの」として、保存と活用を求める要望書を県に提出している。

神奈川新聞より。

01/31  ライトの建築、米国が世界遺産に申請 グッゲンハイム美術館など10作品

米国務省は30日、米建築家フランク・ロイド・ライトが残した、米国内の10の建物を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に申請したと発表した。米国が世界遺産に近代建築を申請するのは初めてという。
申請したのは西海岸から東海岸まで全米に点在するライトの10作品で、ニューヨークのグッゲンハイム美術館のほか東部ペンシルベニア州の「落水荘」など日本でも知られる建築物が含まれる。

産経新聞より。