2007年
03/02 池田遙邨の未知の大作、新潟で発見 大正期作か
京都市のギャラリー鉄斎堂が1日発表したとのこと。これまで存在が知られていなかった作品で、遙邨が画壇で頭角を現す直前の大正末期ごろの作とみられる。
作品は、新潟県燕市の会社経営者が6年前、新潟市の画商から購入したとのこと。絹本着色で縦247センチ、横169センチ。八坂神社の境内を空中から俯瞰したような構図で、満開のシダレザクラがかがり火に照らされ、花見客でにぎわう様子が描かれているとのこと。右下に「遙邨」の落款があった。画壇で飛躍するきっかけとなった第7回帝展の入選作「南禅寺」(1926年)にも通じる構図で、「南禅寺」直前の1925、6年ごろの作とみられる。
京都新聞。未完成作の可能性もあるそうです。
日本での展示を前に、今月航空便での輸送が予定されているレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」について、本国イタリアで貸し出しに反対する声が上がっているとのこと。
同作品は、今月12日に温度・湿度を一定に保つようデザインされた特注のケースに入れて所蔵元である当地のウフィツィ美術館から搬出され、警察車両の警護の下ローマへと運ばれた後、翌13日に東京行きの航空便に積載される予定。
同地区の美術館を監督するPolo Museale Fiorentinoの担当者は1日、ロイターに対し「絵画の保存という観点から今回の貸し出しに反対する理由は見当たらない」と語った。しかし、ウフィツィ美術館のナタリ館長ら一部の専門家は、作品は海外に運搬するには繊細かつ貴重過ぎると懸念を表明している。
1日付ロイター通信。貸し出し展覧会の主催・朝日新聞のサイトには、この記事が置いてなかったり。ロイターの記事、ちょくちょく掲載してるのに。なんて意地悪なことを書いてみる。単なる見落としかもしれませんが。
4月に石室解体が始まる高松塚古墳の発掘調査で、過去の大地震による墳丘の亀裂は石室の天井石に沿って生じていることが分かり、2日、文化庁が発表したとのこと。墳丘の亀裂は石室内への雨水の浸入経路となり、国宝壁画に発見時からあった茶色い染みなどの劣化要因の1つと考えられている。
墳頂から天井石の真上10センチまで堀り進んだ結果、長方形の天井の長辺2本に沿うように長さ約3.5メートルの亀裂(最大幅約2センチ)が、約1.8メートルの間隔で生じていることが判明。こうした亀裂が形を変えながら約1メートル上まで続いていたとのこと。
時事通信。
歌川広重が、「冨嶽三十六景」の「尾州不二見原」をそっくりにまねて描いた浮世絵がアメリカで見つかったとのこと。
この浮世絵は、これまでほとんど公開されたことのないボストン美術館のスポルディング・コレクションと呼ばれる6500枚の浮世絵の中から見つかったもの。左上には「葛飾翁の図にならいて」と記されているとのこと。
NHKニュース。
スティーブン・スピルバーグ氏が、1973年に米ミズーリ州で盗まれたノーマン・ロックウェルの油絵を購入していたことが3日までに分かったとのこと。売買は合法で、監督は盗品とは知らなかったとみられる。AP通信が伝えた。
油絵は、教室で学ぶ子供たちを描いた「ロシアの教室」で、画廊から盗まれたとのこと。米連邦捜査局(FBI)によると、市場価格は70万ドル(約8100万円)に上ると推定される。
スピルバーグ監督は89年に正規の手続きで業者から作品を購入、監督の助手がFBIの手配情報で盗品と気付き届け出た。
日経新聞
文化財絵画のデジタル複製に取り組む京都国際文化交流財団とキヤノンは、京都から海外に流出した作品を、複製にして京都に戻す「文化財未来継承プロジェクト」を5日からスタートさせるとのこと。
同財団は、昨年春と秋にニューヨークでデジタル複製した絵画の展示会を実施。その出来栄えを確認したメトロポリタン美術館の学芸員を通じ、同美術館所蔵の尾形光琳「八橋図」と狩野山雪「老梅図」の2作品の複製許可を取り付けた。今後、現地での写真撮影や色合わせを経て、高精細のプリンターで印刷後、伝統工芸士が金箔を貼り付け、表具に仕立てるとのこと。「八橋図」は京都市に、「老梅図」は本来所有していた妙心寺天祥院に寄贈する予定。
千玄室・裏千家前家元を総監修に、専門家の協力を得ながら作品を選定し、3年計画で15作品程度を手がける。資金や機材をキヤノンが提供するほか、印刷技術の共同研究も進める。
京都新聞。
キトラ古墳の壁画保存問題で文化庁は9日、天井に描かれた天文図など石室内の計11カ所でカビらしいものが見つかったと発表した。うち3カ所は星座を示す金ぱくや朱線などの上に生えているとのこと。
9日の定期点検で、「北斗」などの星座の金ぱくや朱線の上に2カ所、直径0.5ミリ―2センチの黒い粒状のカビのようなものが生えているのを発見。金ぱくの取れた跡でも1カ所、見つかったとのこと。天井余白部や北、東、西の壁面でも白い綿状などのカビらしいものが8カ所見つかったがエタノールなどで処理した。天文図以外の壁画は、すでにはぎ取って搬出済み。
日経新聞
石室を解体する予定の高松塚古墳の発掘調査で文化庁は9日、天井石と壁石の接ぎ目に充てんされたしっくいが地震のためはがれ、6―8ミリのすき間ができていたと発表した。樹木の根や地下水が入り込んで壁画劣化の一因になった可能性があり、文化庁は詳しく調べる。
日経新聞
島根県の荒神谷遺跡で発掘された銅剣358本(国宝)や加茂岩倉遺跡の銅鐸39個(重要文化財)を一堂に集めた「島根県立古代出雲歴史博物館」が10日、同県出雲市に開館したとのこと。両遺跡から出土した青銅器すべてが常設展示されるのは初めて。
延べ床面積約1万2000平方メートルの館内には約9年間かけて保存処理された銅剣のほか、平安時代に高さ約48メートルあったと伝わる出雲大社本殿の復元模型や、2000年に大社境内で出土した鎌倉時代の宇豆柱も展示されている。
レンブラントが描いた可能性のある「黄金の兜の男」という作品を、大阪市の会社社長が所蔵していることが14日分かった。黒江光彦・元国立西洋美術館主任研究官が鑑定したとのこと。長年真作と考えられてきたドイツ・ベルリン国立絵画館の「黄金の兜の男」は、弟子による工房作と86年に結論づけられ、真作の存在は謎のまま。黒江元主任研究官は、所蔵者の了解を得て、オランダ「レンブラント調査委員会」で評価を受けたいとしている。
毎日新聞。作品は、縦75.8センチ、横56.1センチで、ベルリンの作品よりやや大きいとのこと。
この手のレンブラント話は……どんな結論が出るのでしょう。
文化審議会は16日、北海道函館市の著保内野遺跡から出土した土偶(高さ41.5センチ)を国宝に指定するよう伊吹文明文部科学相に答申したとのこと。国宝は計861件となり、このうち考古資料は42件(土偶は2件目)となる。また、重要文化財計30点も答申したとのこと。
【国宝】<考古資料>土偶(北海道函館市著保内野遺跡出土 1箇 縄文時代・BC1400〜1100頃 函館市蔵)<絵画>絹本墨画淡彩出山釈迦図・雪景山水図・雪景山水図 (1幅・1幅・1幅 梁楷筆 南宋〜元時代・13世紀)※「国宝 雪景山水図 1幅」に「重要文化財 出山釈迦図 1幅」と「重要文化財 雪景山水図 1幅」を加えた3幅対として1件の国宝になりました。とのこと。(東京国立博物館公式サイトより)
【重要文化財】<絵画>紙本著色地獄草紙断簡(沸屎地獄)=所有者・国立博物館▽騎竜観音(原田直次郎筆、1890年、油絵、麻布)=護国寺<彫刻>木造獅子頭=津波倉神社▽木造吉祥天立像=個人▽銅造阿弥陀如来及両脇侍立像=青蓮寺▽木造阿弥陀如来及両脇侍像龕=英勝寺▽木造日光月光菩薩立像(所在本堂)=大善寺▽木造十一面観音立像、像内納入品=誓光寺▽木造善導大師立像=善導院▽木造閻魔王坐像、木造泰山府君坐像=東大寺<工芸品>銅五種鈴=光恩寺▽能装束(金紅片身替詩歌文様厚板)=国立博物館▽白繻子地紅梅文様描絵小袖(酒井抱一画)=人間文化研究機構▽黒楽茶碗(時雨、光悦作)=名古屋市▽銹絵松鶴図六角皿(尾形乾山作、尾形光琳画)=個人<書跡・典籍>伝屍病肝心抄并〓病治方=文化庁▽慈覚大師伝=静嘉堂▽金剛頂瑜伽経(巻第一、第二)=勧修寺<古文書>弘法大師二十五箇条遺告=金剛寺▽神鳳鈔=神宮▽二階堂家文書(476通)=東京大▽平城宮跡内裏北外郭官衙出土木簡=文化財研究所▽福成寺規式(建武5年8月6日)=霊洞院<考古資料>埼玉県酒巻十四号墳出土埴輪=埼玉県行田市▽群馬県道訓前遺跡出土品=群馬県渋川市▽福井県一乗谷朝倉氏遺跡出土品=福井県▽奈良県山田寺跡出土品=文化財研究所▽長崎県笹塚古墳出土品=長崎県壱岐市<歴史資料>対馬宗家倭館関係資料=国会図書館▽目黒山形関係資料=建徳寺
毎日新聞。
棟方志功が疎開先の福光(南砺市)から出した未発表の書簡五通が、愛媛県内で見つかったとのこと。松山市内で民芸店を営んでいた知人に宛てたもので、中には愛媛で開いたとみられる展覧会の売り上げを送るよう促す文面もあった。
書簡は、消印から一九四九(昭和二十四)年十一月―五一年一月の間に出されたもので、うち一枚は板画の年賀状。他に民藝運動の提唱者柳宗悦の書簡二通、陶芸家濱田庄司の書簡一通も残されていたとのこと。遺族によると柳宛ての書簡以外は未発表という。
棟方が出した昭和二十五年一月消印のはがきは、愛媛で開かれた展覧会の礼状とみられ、棟方は自身の作品を「仲々特別な人でなくては求める方はありません」とし、販売は「大骨折です」と書いているとのこと。続けて、作品の売れ行きを問い「お世話さまでも送金してくださらば幸せです。表具代に廻し(す)ためであります。こんなことを申して済まなく存じます」と困窮ぶりが分かる内容となっている。売れ残りは東京の柳へ送るよう依頼し「柳先生のお世話で好みの方に頒ってくれるのだそうですから」などと書かれている。そのほかのはがきも棟方が板画や倭画を民芸店に送る連絡で、各地の民藝運動家が協力して棟方を支援していたことがうかがえる。
富山新聞。
埼玉県立歴史と民俗の博物館が、神奈川県鎌倉市の覚園寺から借りて屋外展示していた「五輪塔」を、1990年2月に紛失していたことが19日、わかった。
五輪塔は、五つの石に「空」「風」などの文字を刻んだ安山岩製で、高さ約80センチ、重さ二十数キロ。室町時代のものと推定されるが、文化財指定を受けていない。同博物館によると、五輪塔は、前身の県立博物館が77年に寺側から無償で借り受けて庭に展示。90年2月8日に紛失に気付き、寺側に報告したが、警察に盗難届を出さなかったとのこと。
読売新聞。
神奈川県立の博物館「金沢文庫」は20日、保管する「大威徳明王坐像」が鎌倉時代の仏師、運慶の作と確認したと発表した。座像内部から1216年に運慶がつくったことを示す文書が見つかったとのこと。真作発見は1959年以来、6例目という。
同文庫によると、仏像は高さ約21センチのヒノキ材で、表面には朱や群青の顔料や金箔が施され、目には水晶がはめられているとのこと。1998年に称名寺(横浜市)で見つかり、昨年11月の解体修理時に胴体にはめ込まれていた未開封の紙片が発見され、今年2月に開封に成功した。
日経新聞。
レンブラント(1606〜69年)の真作である可能性が指摘されている「黄金の兜の男」という作品の下に、キリストとみられる人物像が描かれていたことが、新たに分かった。特殊暗視カメラによる観察で判明したもので、制作段階で構図を変更した「ペンティメント」(描き直し)らしい。同市内で20日に開かれた会見で、鑑定した黒江光彦・元国立西洋美術館主任研究官が明らかにした。
キリスト像は兜右側の陰影の下に描かれていたとのこと。くぼんだ目に特徴があり、祭服を着て座り込んでいるように見えるという。また右下に署名のような文字も見つかったが、詳細は分からないという。
毎日新聞。スクラップ2007年3月16日の続報です。しかしこの見出しでいいのか。
高松塚古墳で4月上旬に始まる石室解体作業をめぐり、文化庁の保存対策検討会が22日、奈良市内で開かれ、発掘と解体を同時に進める作業手順を正式に決定したとのこと。当初の計画は石室全体を掘り出した後で解体作業を進める方針だったが、壁石が予想より薄く、大地震の被害で石室が大きくひずんでいることが発掘調査で判明。作業手順を見直した。
新たに決まった作業手順は、石室周囲の土をすべて除去せず壁石の半分程度の高さまで残した状態で、鋼材か木材で石室を保持。天井石と壁石をクレーンで取り外す作業と、発掘や壁面の補強作業を繰り返すとのこと。壁画が土ぼこりで汚れるのを防ぐため、石室の開口部はシートなどで密閉する。一連の作業は4月上旬から始め、7月に終了する見通し。
日経新聞。
金峯山寺(奈良県吉野町)に所蔵されている鎌倉時代(13世紀半ば)の釈迦如来像の胎内に、小型の哺乳動物の骨が灰にして塗られていることが分かったと22日、同寺が発表した。高僧の骨などが仏像に納められているケースはあるが、動物の骨が仏像内で見つかった例は他にないという。
時事通信。
キトラ古墳の壁画保存問題で、文化庁の調査研究委員会は23日、石室天井に残る天文図の分割はぎ取りを検討することを決めた。細菌の侵食で天井のしっくいの傷みが激しく、南壁「朱雀」をはぎ取った際の特製カッターが使えない状況。このため、今後の作業検討案に、亀裂に沿ってブロックごとに分割し、はぎ取る手法も盛り込んだとのこと。
日経新聞。
受賞者と対象作品など 土屋礼一(61)=日本画。日展出品作「軍鶏(しゃも)」▽大津英敏(63)=洋画。独立展出品作「朝陽巴里」▽瀬戸剛(62)=彫塑。日展出品作「エチュード」▽森野泰明(73)=工芸。同「大地」▽池田桂鳳(本名・池田脩)(72)=書。同「三諸」▽三木卓(本名・冨田三樹)(71)=小説・詩・児童文学。文学の諸分野での長年の業績▽栗林義信(73)=洋楽(声楽)。オペラ界での活躍と長年の功績▽唯是震一(83)=邦楽(箏曲)。国内外での箏曲演奏と作曲家としての実績、後進の育成▽山本東次郎(69)=邦楽(能楽)。能楽の発展に尽くした功績▽五世中村翫雀(かんじゃく)(本名・林智太郎)(48)=演劇(歌舞伎)。歌舞伎俳優としての活躍
読売新聞。三木卓さんと池田桂鳳さん、栗林義信さんには、恩賜賞も贈られるとのこと。
文化財のカビ対策を検討してきた文部科学省の「カビ対策専門家会合」は29日、報告書をまとめたとのこと。科学的知識に基づく対策普及のため全国に7カ所程度の相談窓口を設け「カビ対策ネットワーク」として運用することなどを提言した。専門家会合は高松塚古墳(奈良県明日香村)の国宝壁画の劣化問題をきっかけに昨年設置した。
報告書は「日本でカビのない環境を作ることは不可能。『繁殖させない』を対策の基本にすべき」と指摘。学芸員や文化財を所有する個人、寺社関係者らに温湿度管理など保存科学の知識を伝える必要があるとした。都道府県ごとに年1回研修会を開いたり、平易なマニュアル作りを提言。大学、博物館には相談窓口を設け、情報を共有すべきだとした。保管施設の環境を管理する際のガイドラインの試案も提示し、「気温20度以下で湿度65%以下」か「気温25度で湿度50%以下」に保ち、入り口にエアシャワーの設置などを求めた。
日経新聞。






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