2006年
03/02 「彦根屏風」屏風の姿に復元 築城400年祭で公開へ
国宝の「彦根屏風」を2006年度から修復、6面に分かれている仮の額装状態を本来の屏風に戻すとのこと。
彦根屏風は彦根藩主だった井伊家が所有し、1955年に国宝に指定された。市は97年、市民の寄付を元に井伊家から購入し、毎年5月ごろに彦根城博物館で公開している。
保存修理は今年5月の公開終了後に始めるとのこと。07年秋には修復を終え、国宝・彦根城築城400年祭(07年3-11月)の期間中の公開に間に合わせる。
京都新聞。
03/02 ハイテク駆使し文化財複製 NYで群虎図など展示
高精密のデジタルカメラなど最新のデジタル技術と工芸技術を駆使して、日本の国宝など3作品が原寸大に複製され、ニューヨークで2日から6日の日程で開催される世界各国の芸術作品の展示会「アートエキスポ ニューヨーク」に出展されることになった。京都国際文化交流財団が1日、発表した。海外では展示が難しい日本の歴史的な文化財を、高精度の複製品により紹介するのが目的。
展示されるのは、国宝の醍醐寺の「五大尊像」、狩野探幽が描いた南禅寺の襖絵「群虎図」、大徳寺瑞峯院の屏風絵「堅田図」の各複製品。
1日付共同通信。
03/02 高松塚の解体実験開始 クレーンで天井石取り外し
高松塚古墳の石室解体に向け、文化庁は2日、京都府加茂町の実験場で天井石を取り外す実験を始めたとのこと。この日は4枚ある天井石のうち、亀裂の入った入り口側の石など2枚をコの字形の器具で固定した後、ひずみが生じないようコンピューター制御で滑車を動かし、クレーンで墳丘の外へ運び出した。
共同通信。高松塚石室の解体は、来年2−4月ごろの予定とのことです。
03/02 米画家フランケンサーラーの名画にチューインガム
米ミシガン州のデトロイト美術館が所蔵する、ヘレン・フランケンサーラーの代表作にチューインガムがつけられるという事件が発生していたとのこと。犯人は先月24日、校外学習の一環で美術館見学に訪れていた12歳の少年。推定150万ドルとされる「The Bay」の左隅に噛みかけのチューインガムを付けたとのこと。絵画には25セント硬貨大のガムのかすが残ったという。少年は停学処分を受けた。
1日付ロイター通信。
03/03 カーニバルに乗って盗まれたリオの名画、ネットオークションに
リオデジャネイロの美術館から先月24日に強奪された名画4点のうちの1点が、オークションサイトに出品されたことが2日、ブラジル連邦警察の発表で明らかになったとのこと。
ロシア発信のサイトに出品され、1300万ドル(約15億1千万円)の値がつけられていたのは、アンリ・マティス作の「ルクセンブルク庭園」。同作品はピカソ作「ダンス」、モネ作「マリン」、ダリ作「2つのバルコニー」と共に盗み出されたもので、残りの3点はまだリオデジャネイロ市内にあるとみられているとのこと。
2日付ロイター通信。スクラップ2006年2月25日の続報です。
03/09 観音経の最古の記録、木簡が出土 奈良・石神遺跡
観世音経(観音経)について国内最古の記録となる木簡が見つかったと奈良文化財研究所が9日、発表したとのこと。679年に写経を届けたことを依頼主へ報告する内容で、「686年に天武天皇の病気平癒のため観音経が読まれた」という日本書紀の記述を7年さかのぼる。
石神遺跡は、天武天皇の母である斉明天皇の迎賓館などがあったとされ、木簡は溝跡から出土。縦18.6センチ、幅2.3センチ、厚さ4ミリで、表に「己卯(きぼう)年八月十七日白奉経」、裏に「観世音経十巻記白也」と墨書されていたとのこと。「679年8月17日、観世音経10巻を書写したことを報告いたします」などと読めるといい、写経を届ける際に添えたものらしい。
朝日新聞。
03/13 鎌倉の盗掘前は完全密閉 キトラ古墳石室
鎌倉時代に盗掘穴が開けられるまで約500年、ほぼ完全に密閉されていたことが分かり、文化庁が13日、発表したとのこと。盗掘後もしばらくして穴が埋まり再び安定。石室に大量の水や土砂が流入した形跡はまったくなかったという。
石室内部の発掘で取り出した2カ所の土壌を調査。一番上は盗掘後に入った土砂や木の根が積もり、その下は盗掘時に壊した石室の破片や木棺の漆膜が層になっていた。最下部は粘土状の鉱物の層で厚さ約1センチ。粒子の大きさは1ミクロン以下で、凝灰岩の壁がわずかに通す水に含まれた微粒子が、長い年月の間に浸透、乾燥を繰り返したらしく、10−40ミクロンの細かい層が水平に重なっていた。
共同通信。
03/17 金色に輝く古代の花形飾り キトラ古墳、銀装大刀も
2004年夏に石室内を発掘調査した際、大量に運び出された土の中から、金色に輝く花形の飾り金具や純銀製の大刀飾りの一部が見つかり、文化庁が17日発表したとのこと。
花形金具(直径約4センチ)は金銅製で、花びら6枚が開いた形。中心にひもを通すための銀環が付いており、金と銀のコントラストが美しいデザイン。赤漆が付着していたことから、木棺や副葬品を入れた箱などの外側に付けたらしい。大刀飾りは3点あり、柄口とさや口、さや尻の金具だったとみられる。いずれも純度の高い銀製で、刀身のかけら(長さ10センチ)や木製の柄の一部も出土。
共同通信。
03/17 盗まれたゴッホの静物画、オランダの銀行に7年ぶりに返還
オランダの銀行、F. van Lanschot Bankiersに16日、7年前に盗まれたゴッホの静物画「The Pollard Willow」が返還されたとのこと。
数百万ユーロの価値があるとされるこの作品は、ゴッホがオランダ南部の町ヌエネンで暮らしていた時期の後半にあたる1885年に描かれたもので、1999年5月に同銀行の本店から盗まれていたが、このほど同作品の売却を試みた2人の男が警察に逮捕された。警察によると、同作品の保存状況は良好だという。
16日付ロイター通信。
03/18 清水多嘉示の彫刻を探そう 八ケ岳美術館が呼び掛け
長野県原村の村立八ケ岳美術館が、同村出身で文化功労者の彫刻家清水多嘉示の没後25年を記念し、清水が制作したブロンズ像を探す企画を始め、全国に情報提供を呼び掛けているとのこと。清水の作品は公園や学校などに数多く展示されているが、ブロンズ像は同じ型から複数作ることができるため、全国にどれだけ作品があるか分からないのが実情。
清水は1923年、フランスに渡り、ロダンの助手として知られるブールデルに師事。代表作に東京都台東区の上野公園に展示されている「みどりのリズム」がある。
共同通信。
03/18 国宝2件、重文47件指定を答申
《国宝》【考古資料】福岡県平原方形周溝墓出土品(文化庁) 【歴史資料】琉球国王尚家関係資料(那覇市歴史資料室)
《重要文化財》【絵画】紙本著色四季日待図(出光美術館)▽紙本墨画竜虎図(慈芳院)▽絹本著色孔雀明王像(文化庁)▽紙本著色東福門院入内図(三井文庫)▽絹本著色春日補陀落山曼荼羅図(根津美術館)▽紙本著色地獄草紙断簡(五島美術館) 【彫刻】木造慈覚大師頭部・木棺(立石寺)▽木造顕智坐像(専修寺)▽厨子入木造大黒天立像(セゾン現代美術館)▽木造不動明王坐像(伊崎寺)▽木造鬼神像(北野天満宮)▽木造諸尊仏龕(報恩寺)▽厨子入木造阿弥陀如来及両脇侍立像・厨子入木造千躰地蔵菩薩像(同)▽木造童形神坐像(石清水八幡宮)▽木造持国天増長天立像(弘仁寺) 【工芸品】春日龍珠箱(奈良国立博物館)▽紺黄染分綸子地竹栗鼠梅文様振袖(カネボウ)▽彩磁禽果文花瓶(敦井美術館)▽輪宝羯磨蒔絵舎利厨子(高山寺)▽能装束「紅浅葱地菊笹大内菱文様段替唐織」(厳島神社)▽絵唐津菖蒲文茶碗(田中丸コレクション) 【書跡・典籍】称名寺聖教(称名寺)▽宋版南史残巻、断簡(同)▽智証大師伝(東京国立博物館)▽袖中抄(冷泉家時雨亭文庫)▽春屋妙葩墨蹟(鹿王院)▽伊勢集(天理大学) 【古文書】奉写一切経所紙納帳(文化庁)▽神泉苑請雨経法道場図(奈良国立博物館)▽天養記(伊勢神宮)▽賀茂別雷神社文書(賀茂別雷神社) 【考古資料】▽深鉢形土器(文化庁)▽鹿児島県広田遺跡出土貝製品(国立歴史民俗博物館)▽北海道カリンバ遺跡墓坑出土品(北海道恵庭市)▽土偶(長野県茅野市尖石縄文考古館)▽三重県宝塚一号墳出土品(松阪市)▽修羅・梃子棒(大阪府)▽埴輪水鳥(大阪府藤井寺市)▽鹿児島県広田遺跡出土品(県歴史資料センター黎明館) 【歴史資料】ジョサイア・コンドル建築図面(京都大学)▽銀板写真・松前勘解由と従者像(北海道松前町郷土資料館)▽万年自鳴鐘(東芝)▽銀板写真・田中光儀像(志村豊志郎)▽銀板写真・黒川嘉兵衛像(黒川清)▽銀板写真・遠藤又左衛門と従者像(横浜美術館)▽銀板写真・石塚官蔵と従者像(石塚光司)▽長崎奉行所関係資料(長崎歴史文化博物館)
毎日新聞。このほか、仙台市で街頭紙芝居師として活躍した井上藤吉氏の約5万3000枚に上る街頭紙芝居コレクションを含む紙芝居資料など美術工芸品4件、旧関善酒店主屋(秋田県鹿角市)▽浜田温泉資料館(大分県別府市)など建造物165件の登録有形文化財への登録を答申したとのこと。
03/24 日本芸術院賞に10人
受賞者と対象作品など 村田省蔵(76)=洋画。日展出品作「春耕」▽辻井喬(本名・堤清二)(78)=小説・詩歌。小説群の旺盛な創作活動▽畑中良輔(84)=洋楽(声楽)。舞台(オペラ)育成への多大な功績▽福田千●(本名・福田千●子)(59)=日本画。日展出品作「ピアニスト」▽市村緑郎(69)=彫塑。同「間」▽原益夫(71)=工芸。同「エンドレス」▽劉蒼居(本名・振角昭彦)(64)=書。同「袁枚詩」▽香山壽夫(69)=建築。「聖学院大学礼拝堂・講堂」(2004年完工)▽野村四郎(69)=邦楽(能楽)。近年の優れた舞台成果▽坂東三津五郎(本名・守田寿)(50)=演劇(歌舞伎)。新作「道元の月」の演技など。(●は「恵」の異体字)
小説・詩歌の辻井喬さん、洋画の村田省蔵さん、洋楽(声楽)の畑中良輔さんには恩賜賞も贈られるとのこと。
読売新聞。
03/30 B・スピアーズの出産描いたヌード彫刻、抗議が殺到
米国の歌手、ブリトニー・スピアーズさんが熊皮の敷物の上で四つんばいになって出産する様子を描き、「中絶反対」を訴えたという等身大の裸体彫刻が、ニューヨーク市内の美術館での公開を前に、物議を醸しているとのこと。反響が極めて大きいため、美術館は作品展示に当たって警備体制を強化する方針。
この作品は「中絶反対へのモニュメント」と題して、彫刻家のダニエル・エドワーズ氏が制作。4月7日からニューヨーク・ブルックリンのカプラ・ケスティング美術館で展示される予定。
29日付時事通信。ちょっとネタっぽいです。
03/31 古代エジプト出土品、米美術館に返還を「最後通牒」
エジプト考古庁は米セントルイス美術館に対し、同美術館が古代エジプト王朝の出土品を違法に所蔵しているとして、4月上旬までにエジプトに返還するよう求める書簡を送ったと発表したとのこと。返還に応じない場合、米国の裁判所で法的措置を取るとともに、国際刑事警察機構(インターポール)を通じた国際手配も辞さないとしている。エジプト政府が進めている文化財の返還運動の中でも、期限を示した“最後通牒”は極めて異例。
出土品は、古代エジプト新王国第19王朝(紀元前13〜14世紀)の女性「カネフェルネフェル」のミイラ用マスク。彩色が施されたガラス入りの目や黄金の髪飾りなどの保存状態は良好という。考古庁発表などによると、このマスクは1952年、カイロ近郊サッカーラでエジプト人学者によって発掘されたが、59年ごろ、東京で予定されていた展覧会に向けて移送する直前に何者かに盗まれた。以後行方不明となったが、同美術館が98年、第三者から購入したことが判明した。
読売新聞。






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