2004年
11/01 文化財68件が管理不備
総務省は1日、管理が不十分なため、文化財が破損したり行方不明になったりしている事例が少なくないとして、文部科学省に対し、管理の徹底を求める通知を行うとのこと。総務省が実施した文化財の保護に関する行政評価・監視で、12道府県の文化財862件を抽出調査したところ、不適切な管理例が68件見つかったため。
読売新聞。破損は計14件。また、行方不明になっている重要文化財も計12件あったそうです。
11/01 蓬左文庫が2日オープン
重要文化財の「河内本源氏物語」など尾張徳川家ゆかりの貴重な書籍や古文書、絵図など約11万点を所蔵することで知られる蓬左文庫(名古屋市東区)の改築が終わったとのこと。河内本源氏物語は全54帖がそろったものとしては最古で、新設された展示室で実物の一部を見ることができる。閲覧室では、書籍など約1万点を収めたマイクロフィルムを紙焼きした本やパソコンで閲覧できるとのこと。
共同通信。蓬左文庫は徳川家康の実子で尾張藩主の義直の蔵書が始まりとされ、1950年以降は名古屋市が管理。
11/02 国立国際美術館3日開館
国内で初めて全館地下の国立国際美術館(大阪市北区中之島)が3日、オープンするとのこと。
共同通信。同館は1970年の大阪万博で大阪府吹田市に建設された「万国博美術館」を引き継ぎ、77年に開館し、老朽化したため移転した。
11/05 ベッカムに触発されたアート作品競売
サッカーのイングランド代表主将デビッド・ベッカムに触発された現代アート作品の慈善オークションが4日、ロンドンで行われたとのこと。参加アーティストは、トレーシー・エミンをはじめトビー・モット、アリソン・ジャクソン、ジョン・ケークとダレン・ニーブの「ザ・リトル・アーティスツ」など。歌手ホリー・ジョンソンも、イングランドの旗を模した作品を提供。
オークションは英聴覚障害児協会(NDCS)とクリスティーズが実施。NDCSはオークションの収益金を15万ポンド(約3000万円)と予想しているとのこと。
4日付ロイター通信。
11/05 唐古・鍵遺跡の展示室完成 絵画土器など950点
弥生時代を代表する集落跡、唐古・鍵遺跡の出土品などを展示する「唐古・鍵考古学ミュージアム」が奈良県田原本町に完成したとのこと。中国風の楼閣を描いた絵画土器や牛形埴輪(重要文化財)、大型建物跡から掘り出した直径約60cmの柱など、約950点を展示。絵画土器を基に弥生時代の祭りを再現した模型もある。一般公開は24日から。
共同通信。
11/05 ゴーギャンらの絵画、史上最高値で落札
ゴーギャンとモジリアニ、モンドリアンの絵画が史上最高値で落札されたとのこと。ゴーギャンの油絵「Maternite (II)」の落札価格は3920万8000ドル(約41億5700万円)で、ゴーギャン作品の最高値を更新。モジリアニがジャンヌ・エビュテルヌを描いた肖像画も3136万8000ドルと、昨年達成されたばかりの最高値記録を更新。モンドリアンの「New York 1941/Boogie Woogie」は2100万8000ドルと、これまでの最高値の2倍以上に高騰したとのこと。
4日付ロイター通信。サザビーズが4日、ニューヨークで開催した印象派絵画と現代アートのオークションにて。
11/07 佐藤太清氏が死去
花鳥風景画で知られた文化勲章受章者で日本画家の佐藤太清氏が6日、死去したとのこと。90歳。
共同通信。
11/08 第26回サントリー学芸賞決まる
【芸術・文学部門】田中貴子氏(京都精華大助教授)「あやかし考―不思議の中世へ」(平凡社)を中心として▽原研哉氏(グラフィックデザイナー、武蔵野美術大教授)「デザインのデザイン」(岩波書店)
朝日新聞。芸術・文学部門のみ抜粋しました。
11/10 北朝鮮が高句麗壁画公開
北朝鮮で初めて国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された「高句麗古墳群」の代表的壁画古墳を共同通信社の特別取材団が10月末から約1週間、現地で単独取材し、貴重な写真、ビデオ映像を収録したとのこと。北朝鮮側によると、世界遺産登録後、外国メディアに特別公開したのは共同通信が初めて。
共同通信。
11/11 柳原義達氏が死去
「道標」シリーズなどで知られる彫刻家で文化功労者の柳原義達氏が11日、死去したとのこと。94歳。
共同通信。
11/11 48億円で聖母子像を購入 NYメトロポリタン美術館
10日、13-14世紀イタリアの画家ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャの代表作の一つである聖母子像を購入したと発表したとのこと。購入額は4500万ドル(約48億円)以上とみられ、同美術館が取得した作品としては最高額になるもよう。聖母子像は1300年ごろに描かれたとされ、大きさは縦28cm、横20cm。
10日付共同通信。イタリア国外に所蔵されているドゥッチョ作品の多くは断片しか残っておらず、完全な形で保存されているものは少なかったという。
11/16 新生NY近代美術館を公開 一般向けは20日から
全面改築工事を行っていたニューヨーク近代美術館(MoMA)は、4億2500万ドル(約448億円)をかけて生まれ変わった美術館本館を報道陣に公開したとのこと。
設計は谷口吉生氏が担当。同美術館は6階建てで、延べ面積約5万8500平方メートル。展示スペースはこれまでの7900平方メートルから1万1600平方メートルに拡大したそう。
15日付共同通信。
11/16 3世紀の翡翠人形発見 メキシコ、月のピラミッド
メキシコ市郊外にあるテオティワカン遺跡の「月のピラミッド」を調査したメキシコ国立人類学歴史研究所と愛知県立大学の杉山三郎教授らの発掘チームは15日、ピラミッド中腹の墳墓から中米地域では出土例がない精巧な翡翠の人形が、いけにえの人骨とともに見つかったと発表したとのこと。人形は250-300年ごろのものと推定される。
人形は翡翠をモザイク状に並べて作られ、髪の部分は黒曜石、目や歯の部分には貝でふちどった象眼技法が用いられている。
共同通信。科博で翡翠展やってますし。翡翠つながり。
11/17 熊野本地仏曼荼羅図の版木発見 古座川町・霊巌寺
江戸時代前期、少なくとも350年前に作られたと見られるそうです。これまで熊野曼荼羅の版木は発見されていなかったとのこと。
この版木は、本堂の修繕作業を行っていた際、須弥壇の中から発見。サクラの木と見られる一枚板で縦74.5cm、横37cm、厚さ2.5〜3cm。虫食いによる破損は進んでいたが、版の面はほとんど傷がなく保存状態は良好とのこと。
紀伊民報。世田谷美術館で開催される「祈りの道―吉野・熊野・高野の名宝」展に特別出品されるそうです。20日から来年1月23日まで。
11/17 イサム・ノグチの映像公開
岡山県立美術館は17日、彫刻家、故イサム・ノグチ氏(1904-88年)の生誕100年を記念して、同氏が岡山市内で特産の石材を吟味する様子などを記録した映像の映写会を開いたとのこと。映像は1957年、パリ・ユネスコ本部の庭園に使う万成石の調達に岡山市を訪れ、石切り場で作業を指示する姿など。ノグチ氏の動画映像としては初期のもので、一般公開は初めて。
共同通信。
11/23 吉井淳二氏が死去
洋画家で文化勲章受章者、二科会元理事長の吉井淳二氏が23日、死去したとのこと。100歳。
東京美術学校在学中の1926年、二科展に初入選。「水汲」(64年)で65年に日本芸術院賞を受賞。「市場シリーズ」や、舞妓像など。
共同通信。
11/24 偽造絵画見破るソフト開発 米大学
画家の筆運びなどの特徴をデジタル画像から数値化し、偽造絵画を見破ることに使えるコンピューターソフトを米ダートマス大の研究者らが開発し、米科学アカデミー紀要に23日までに発表したとのこと。
ソフトはまず、本物と分かっている絵画を何枚も精密な白黒のデジタル写真に撮って細かい部分に分け、余白や微妙な筆運びの特徴などを基に数値化してデータベースに蓄積。鑑定対象の絵画も同様に白黒画像にして、同じ特徴が現れているかを分析するそう。
23日付共同通信。「専門家が鑑定した通りに本物と偽物をぴたりと当てたり、有名画家の作品が実は4人の手で描かれていたと分析するなど、プロ顔負けの“眼力”を発揮した」そうです。
11/26 石室内部を報道陣に公開 キトラ古墳
石室内は温度18・4度、湿度100%。人の出入りが多いと温度が上昇、カビが繁殖する危険があるため、報道各社から担当者が1人ずつ、3分間限定で入ったとのこと。入る前に頭から足まで包む白いつなぎ服を着用し、エアシャワーで除菌。南壁の盗掘穴から石室をのぞいたそう。
共同通信。「内部は作業員が2人も入れば窮屈な狭さ。天井にある天文図の星を表現した金ぱくは、目視では確認できなかったが、石の接ぎ目から大量の泥が壁のしっくいに染み込んでいた」とのこと。
11/29 日本芸術院、4人が新会員に
日本芸術院は、洋画の山本貞さん(70)▽彫塑の川崎普照さん(73)▽彫塑の澄川喜一さん(73)▽建築の岡田新一さん(76)を新会員に決めたとのこと。12月15日付で中山成彬文部科学相が正式発令。これで会員は110人となる。
毎日新聞。
11/29 2千年前の壁画発見−中国
中国陝西省の西安市文物保護考古所は、約2000年前の前漢(紀元前202〜紀元後8年)時代の古墳から、壁画を新たに発見したとのこと。壁画の中には弓を引き、獲物を捕らえようとする古代男性の姿など珍しい図柄もあり、中国古代で初めてのものも多い。
時事通信。
11/30 八代目団十郎の押し隈か
江戸時代末期の八代目市川団十郎が顔の化粧を紙に押しつけて残したとみられる最古の押し隈が見つかったと立命館大が、発表したとのこと。八代目団十郎が歌舞伎十八番の「景清」を演じた1849年ごろの押し隈とみられる。押し隈は、市川家の後援者だった江戸の呉服商が巻物に張り付けていた。立命館大が2年前に京都市の古書店から巻物を購入して見つけた。
共同通信。約20センチ四方の和紙に黒と赤の顔料の隈取りが残っており、右上に「八代目市川団十郎三升景清押紙」と記されていたそう。
11/30 蝦夷集落から刀の金具 重文級か
青森県八戸市にある平安時代後期の蝦夷の集落跡・林ノ前遺跡から出土した金具が、兵庫県社町の清水寺で発見されたもの以外に例のない型をした、刀の柄の部品(刀装具)であることが、青森県埋蔵文化財調査センターの調査で分かったとのこと。刀装具は銀箔を施した銅製とみられ、縦約4.2センチ、横約1.6センチの楕円形。刀の柄の部分に取り付ける道具と考えられ、表面には竹の節をかたどった凹凸が4カ所ある。住居跡の外側から見つかった。
共同通信。






topback