目に付いた作品をメモ。

刺身 喜多川歌麿筆:蛸柄の皿に並ぶ鰹の刺身。刺身にのせる大根をおろす娘。それを見守る母。日常の風景そして季節を反映した展示。刺身部分には技が使用されているらしい。ところで、鰹に大根おろしは結構美味な組み合わせです。ネギや生姜とは違った味わい。大根は辛味がある方が合うみたい。「浮世絵と衣装 ―江戸 浮世絵」に展示。2007/6/3まで。

小袖 茶綸子地四季耕作風景模様:タイトル通りの文様。四季折々の田んぼ風景や農作業の様子が描かれている。とても楽しい。四季耕作は絵ではよく見るけど、着物に取り入れたのは初めて見たかも。色はシックな茶系。「浮世絵と衣装 ―江戸 衣装」に展示。2007/6/17まで。(2007-06-03記)

10月3日〜12月3日 東京国立博物館

▼菩薩半跏像(伝如意輪観音)の衣のしわにのまれました。これは本当に痺れる。ところで四方八方から見られるのはありがたいのだけど、照明が目に痛いです。

▼照明といえば、円空作品は光と影のコントラストが大変美しかったです。

▼日本の博物学シリーズ 特集陳列「旅と街道」
旅の楽しさが伝わってくる展示。様々な資料が集められており、大名行列人形や伊万里の染付五十三次図大皿なんてのもある。
「旅行用心集」(八隅廬庵著)は江戸版旅行ガイド。宿ミシュランていうか。東海道の絵地図は街道の様子が細かく書いてあり、見ていて飽きない。「懐中持薬入」(近江屋安兵衛作)は紙製の折り畳み式入れ物。構造がとても凝っていると同時に実用的。作り方は多分把握出来たのでいつか再現してみたい。
こういうの見ると旅支度やリサーチ具合、旅に抱く高揚感って昔も今も一緒なんだなと思う。2006/10/17〜2006/12/17

▼特集陳列 没後100年 林忠正コレクション ポール・ルヌアール展
点数がある程度揃っており、満足のいく展示。
作品は女性をわらわらと描き込むパターンが多いのだけど、その描法や配し方が何故かアイコンっぽい。置いていくというのかな。そんな感じ。ちょっと不思議な面持ちである意味新しいのかも。10月3日〜11月26日(2006-11-17記)

9月12日〜12月10日 国立西洋美術館

▼渋い雰囲気と、ベルギー特有の空気感が楽しめる展覧会。セルロイド人形乱舞の「地獄のアイネイアス」、好色がテーマかーちょっと交尾してない?な「欲望」、色がおかしい「孔雀」など変わった絵も多いです。ルーベンス&ドラクロワによる摸写されました/しました、アンソールとクノップフの作品類似といった比較系もあり。

▼ヤーコプ・スミッツの叙情肖像画が気に入りました。

余談ですが、「『飲む王様』のワッフル売ってます」とかありそうなのに、実際は無かったです。

8月3日〜8月24日 ホテルオークラ東京

▼江戸時代から現代、西洋日本の作品が集っています。幅広です。が、「花鳥風月」というテーマに沿っているので、それ程違和感はありませんでした。花鳥系が好きであれば、楽しめるのではないかと思います。あちらこちらの美術館等から出品されており、おいしい所をつまみ食いといった感もありました。

▼作品は、酒井抱一の「四季花鳥図屏風」が目立っていました。大きいし。金色だし。洗練と、抱一独自の緩さが凌ぎを削っており、良い味わいでした。点数では、小林古径が目立っていました。数が多いのは、主催者の趣味でしょうか。いえ、いやなわけではありませんが。あと、全体を通して花の美しさが際立っていたように思います。特に、ファンタン=ラトゥール、小絲源太郎の花が好みでした。静寂の世界に咲いているような感じ。

8月5日〜10月9日 泉屋博古館分館

▼人物部屋、風景・静物部屋に分かれていました。

▼人物部屋は、絵具の盛り加減が気になりました。こってりクリーム厚塗り系の藤島武二「幸ある朝」から、地が見える小磯良平「踊り子二人」まで。肌にそれぞれ個性あり。モデルは、母からお姉さんを経て幼女まで。女性多し。その中で、小杉放庵の金太郎と香月泰男「ドリルを持つ人」が異色派として佇んでいました。香月作品は、デザインありきといった風情。

▼風景・静物では、藤島武二が時折微妙な配色になるのは何故だろう、梅原龍三郎はどの作品も同じに見えるなどと思いながら鑑賞。ところで、坂本繁二郎「箱」と、牧野虎雄「鳥箱」が隣同士なのは狙っているのでしょうか。坂本の箱シリーズは、積まれ並べられているだけなのに不思議な吸引力があります。立方体が呼んでいる。「鳥箱」は、セキセイインコ入り。雑然とした情景で、何故描いたのか謎。でも、謎に惹かれてみたり。

前期 8月3日〜9月3日、後期 9月5日〜10月1日 大倉集古館

▼三部構成。
第一部は「金色の荘厳〜仏教・神道の美術」。「平家納経」の模本が何点もあります。作者は田中親美。経箱まであった。金色観点では、「虚空蔵菩薩像」(鎌倉時代)の戴金。綺麗にのこっているわけではないのですが、繊細さが伝わる一品。

▼第二部は「金の彩り〜花やぐ意匠」。こちらでは蒔絵が目に付きました。「長生殿蒔絵手箱」は、技や意匠に上品さが漂っております。鎌倉時代の作。伝源俊頼「古今和歌集序」(平安時代)は、料紙が(も)見所。前期展示です。

▼第三部は「金色の異空間〜金屏風」。「網代に葡萄図」は、有機的な葡萄の葉、網代垣の直線に金を使用。曲線と直線の妙を演出。住吉如慶「秋草図」には金砂子の霞が浮かび、「波に千鳥図」では金色がデザインの役割を担っていました。様々な表情の金が見られ、最もわかりやすい「Gold 〜金色」でした。

6月3日〜7月30日 大倉集古館

▼男の美術ときたら、とにかく「男」を前面に押し出しているに違いない。という勝手な連想に寄りそってくれるような作品が並んでいました。「一の谷合戦絵巻」「名将肖像図帖」に刀、そしてメインの「随身庭騎絵巻」。しかし、展示後半から飛躍し始め、男の美術なのか男が描かれた作品を集めただけなのか普通の古美術展なのか判別がつかなくなってきました。風俗画と男の美術の間にイコールは結び難いです。若冲の「乗興舟」は、若冲と大典の関わりから出品されているようですが、ちと苦しい気もしたり。

▼「随身庭騎絵巻」では、躍動感に溢れた線を堪能しました。どうでもいいことですが、鎌倉時代の美貌は謎に満ち溢れているなと思いました。
狩野常信・猪飼正毅による模本の展示もあり。常信バージョンは、忠実だけれど線が狩野派を物語っているような。おとなしめといったらいいのか。猪飼バージョンは、模本をさらに写したということでもはや伝言ゲーム。原型取っ払いです。

7月4日〜8月27日 東京国立博物館

▼滅法面白い江戸絵画大盛。で、終わらせてもいい位。あとは、個人的に動きのある作品が気になったとか。

▼「若冲と」:幅広な年代の作品を見られたり、幅広な画風を体験できたり、動植綵絵に繋がる作品があったりするのが良いです。変遷を辿れるというのは凄いと思う。作品は、「鶴図屏風」の円や菊化した鶴の姿が飄々と面白い。けど、あの円は只者には見えません。それから、鶏冠に宇宙を抱え込ませるのは若冲ぐらいかも。意味不明。

▼「江戸絵画」:長沢蘆雪は沢山あるわけではないのだけど、おいしい所は持っていく感じ。岩井江雲「三千歳図」は、沈南蘋エキスが注入されたような作風。こういう作品を持っているのがまた面白い。鈴木其一「漁樵図屏風」は色彩も作風も淡く、其一であることにびっくり。こういう作品を持っているのが(略)そういえば、「江戸琳派」コーナーは人影まばらで寂しかったです。頑張れ江戸琳派。

▼最後に、「ガラスケースを用いず、光の効果に工夫を凝らした展示室」あり。といっても自然光ではないし、光のうつろい早回し状態で少々せわしない。でも、感じを掴めればいいのかも。こちらの展示は、効果がわかりやすい作品を選んでいる印象。中でも、葛蛇玉「雪中松に兎・梅に鴉図屏風」は、光による変化が面白くて長居してました。雪と幹の白いコントラスト。抱一の雪も、繊細に光り浮かび上がる美しさ。ふわふわと落下する星のようにも見えました。

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巡回:9月23日〜11月5日:京都国立近代美術館、2007年1月1日〜2月25日:九州国立博物館、2007年4月13日〜6月10日:愛知県美術館

6月16日〜7月8日 ブリヂストン美術館

▼丸々坂本繁二郎で、画業を丸々と紹介。まとまった形で触れることにより、新たな坂本繁二郎像が浮かび上がってきたように思います。凡庸、まったり、ファンシー配色など、これまで漠然と抱いてきた像とは若干ブレがあったり。

▼凡庸一直線かと思いきや、時折見せる黒い影。目が入っていない顔や青い肌を持った人物像は、なんだか得体が知れません。人形にも目が入ってなかった。能面シリーズにおいては、面自体の怖さに加え、配置というより破棄に近い構図があったりでやっぱり得体が知れません。

▼それから、一見まったりだけど実は我が強いような。モチーフとの距離を縮めていくのではなく、自分にモチーフを引き寄せる感じ。「馬の筋肉やラインの美しさ、つぶらな瞳ハァハァ」系ではなく、モチーフは最初から最後までモチーフというか。(ハァハァとハァハァしてないどちらが良い悪いということではありません)

▼色彩は、1枚2枚見る分には綺麗でファンシーで凡庸風味なのだけど、数が揃うと凶器/狂気になりうるのだと思いました。酩酊感がある。私は日頃、坂本と似たような色彩の絵を「悪魔の配色」と呼び愛でながらも、坂本自身は似て非なるものと位置付けてきたのですが、ある意味悪魔ですわ。

▼透き通った上澄みを覗き込むと、ちょっと黒い底が見える。そんな感覚のする展覧会でした。二層構造。でも、気のせいかも。 最晩年の馬と月は、上澄みをすくい上げて描かれている感があります。

前期:4月12日〜5月7日 後期:5月9日〜5月28日 東京藝術大学大学美術館

▼日本画、工芸、洋画、版画に分けた展示。「近代美術」から想起される作家の作品が見られます。点数は洋画・版画が多目。全体的に手堅い雰囲気。

▼チラシなどに採用されている「砂丘」は、高山辰雄によるもの。近作のイメージが強いので、ある意味新鮮でした。草の表現がおかしいです。先端が「の」みたいに巻かれてる。和田英作「野遊び」は、息継ぎ無しの描き込み。草木辺りに元ネタの在処を想像できたり。吉田博「溶鉱炉」は題材に尽きると思っていたら、「戦時特別展」初出とあり。ここらに鍵?

▼工芸作品のいくつかは、「斬新だったのかも」光線を発していました。あと、平川清蔵の版画「照明」は、空間の把握具合に惹かれる。
版画部門では新収蔵品も紹介。平成16年度収蔵・長谷川潔作品は、原板とともに。これがまた細かくて。米粒に字を書けそうな勢いです。

4月8日〜5月14日 静嘉堂文庫美術館

▼展覧会名が示す通り、メインは「関屋・澪標図屏風」。解説に力が入っていました。また、どちらが左隻で右隻か不明ということから、前後期で左右を交換したらしい。私が行った時は向かって右に関屋図、左に澪標図でした。参考として「平治物語絵巻 信西巻」も出品。ちょっと比べてみる。

▼「琳派の美」の方も良い品が揃っています。光琳多し。
展示では、光琳「定家詠十二か月花鳥図屏風」と乾山「色絵定家詠十二か月花鳥図角皿」の共演が面白かったです。めぐりあい兄弟。呼応した形で作品が配されていました。

▼牧谿「漁村夕照図」が、さり気なく掛けられていたり。とりあわせってことで。他、高麗茶碗、良寛の書など。

▼根津美術館は、改築の為休館に入るそうです。その間、所蔵品はどうするのでしょう。「美術館名品展」として、各地を巡回したりするのでしょうか。この機会に「燕子花図」と「紅白梅図」の顔合わせなんてあったら見に行きます。以上、外野の妄想でした。(2006-05-06記)

▼2月以降に見た分をまとめて。

▼特集陳列「狩野一信の五百羅漢図」 2月14日〜3月26日
「全50幅、100図を一挙公開」がポイント。妖しい陰影、妖しい色彩、妖しい表情、妖しい線。
増上寺から二幅来てました。並べると、増上寺に軍配が上がってしまったり。デカいし、濃厚度も上昇してるし。こちらも一挙公開して欲しい所。

▼特集陳列「医学 −医学館旧蔵資料を中心に−」 2月28日〜4月9日
神農図がありました。必然。
時代を経るごとに、リアル仕様となる五臓図。進歩。
「解体図」は、首断面が詳細に描かれていたり、肋骨辺りを魚チックに開いた図があったりします。興味本位。いや、見てる側がですけど。

▼「日本美術の流れ 浮世絵と衣装」より窪俊満 3月28日〜4月23日
霞連草木合「布袋艸、あつもり草」「稲つむ春、ふきの臺」「水巴軾、沈丁花」では、黒や灰色への拘りが感じられました。一見地味な配色に気遣いがあるというか。微妙に変化する色調を、包むように取り扱っているように見える。
「夜景内外の図」は、暗部表現が山椒の実。モダン系にシフト。日産のよくわからないコピーみたいです。
「群蝶画譜」は、少し前にも出ていました。繊細で美しい。
今は「宇治茶摘」を展示中。4月25日〜5月21日(2006-05-06記)






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