09/03-10/30 出光美術館

▼出光コレクションのなかから琳派・京焼の名品を中心に、華やぎのある雅びな作例を数多く展示し、京の近世前期の美術をひとつの切り口から物語っていきます。(同展チラシより)

▼「洛中・都の景色−京都の町並みを歩く」コーナーでは、京の景観を表した作品を展示。「洛中洛外図屏風」で通行人になりかわり、「祇園祭礼図屏風」を見物。「阿国歌舞伎図屏風」は見た目が妙で、花鳥画に人物が合体。歪んだ比率を保っており、巨木や巨鳥に人物が取り囲まれている異界ぶり。

▼他は「−琳派と京焼−」にかかる展示で、顔ぶれは楽焼、宗達、仁清、光琳、乾山。それぞれまとまった形で出展されており、楽しめる内容となっています。特に光琳は、現存する完成画で最古といわれる作品や、伝光琳で怪しい装飾の「紅白梅図屏風」があったりします。「茶碗絵手本」と、乾山との合作がセットで見られたりも。色々な意味で興味深かったのは、琳派の伝〜。伝光琳と其一の取り合わせなんてのもあるし、継承伝播とか補筆とか気になる。

08/02-10/10 書道博物館

▼画家であり書家でもある中村不折が収集した品々を展示。絵画は、書家視点で集められた印象。「書道博物館」で見たからそう思うのかもしれんですが。

08/06-09/25 東京都写真美術館

▼「夜のパリ」をはじめとする写真から、素描、彫塑まで。ブラッサイの多彩な表情に触れられます。

▼夜の街に佇む人々の背中には、物語を帯びた黒い影が覆っていたり。風景には、建物の骨格を露わにするかのような影がはり付いていたり。作品により影の印象が異なります。時の経過も一枚の写真に込めてあったり、写真のコマ送りで見せてくれたりもする。鋭角なデッサンと、丸みを帯び原始の香り漂う彫塑が同居している所も面白い。彫塑は、落書きシリーズにつながっている気も。

▼多彩さは色々な場所から紡ぎだされた糸のようであり。糸は、時に交差し繋がり、シュルレアリスムやピカソと絡み合い、最後はブラッサイ自身へ戻っていく感じ。

07/23-09/11 東京都写真美術館

▼前回は「創造」というテーマの元に広く作品を集めた感がありましたが、今回はピンポイントな展示でした。

09/03-11/06 東京都庭園美術館

▼時代は、幕末から現代。ジャンルは、絵画、工芸、いけばな、写真に植物学。バラエティに富んだ味わいは、植物という名の菓子詰め合わせのよう。包装紙は庭園。

▼印象に残ったのは、服部雪斎「澱粉類」の根、コンニャクの花の美しさ、杉浦非水・富本憲吉による絵画とデザインの相関性、南方熊楠の茸、東松照明の色。東京ステーションギャラリーに続き、五百城文哉が見られたのもよかった。もちろん点数は減っているけれど、「日本高山植物写生図」が出ていたり。他にも、様々な植物画が見られるわ、面白い作品が多いわで、1点ごと作家ごとに美味でした。さらに、展覧会全体を捉えつつ咀嚼するとより楽しめたりして。

▼屋外では変化朝顔が見られます。展示室には、横山松三郎による押し花や押し葉・写真もあり。瑞々しい姿と写し取られた姿の二本立てです。しかし栽培の方は、早めに行かないと手遅れになりそうな咲き方。

▼展覧会との相乗効果を狙いつつ、隣りの自然教育園にも立ち寄りました。樹木と野草にまみれ、ミズヒキ、ハギ、オミナエシなど季節の花を愛で、蚊に喰われました。蚊はおいといて、広大な緑を堪能。それにしても、水辺のおねだりカメはすごい。橋の上に立つだけで、足フル回転の泳ぎで近付いてきます。結構速い。沢山寄ってくる。

09/10-12/24 松岡美術館

▼愛らしい図柄の柿右衛門あり。独自の色彩が愛らしさに花を添える。新収品も数点展示。
同時開催「屏風絵展」「ヨーロッパ近代絵画展」。アンスデル「青鷺」の博物画風描写が小ツボ。デルフト窯の壺は、形も絵も破格。少々外れた音色が聴こえてくるような。幻聴。

▼古代エジプト美術、ガンダーラ・インド彫刻、ヨーロッパ近現代彫刻と、幅広いコレクション。別室には絵画とやきもの展示もあるので、更によろず度上昇。

▼点数が多いのは、ガンダーラ・インド彫刻部屋。肉感的です。近現代彫刻は、ヘンリー・ムーアが目立ってる。あと、エジプトとジャコメッティの猫たちがしなやかで可愛らしく、時には給仕してたりする。世話されたい。(09-11)

09/17-11/06 佐野市立吉澤記念美術館

▼画家、陶芸家たちの70歳前後以上の作品を紹介。あわせて長寿を願う画題やモチーフを扱った作品も展示。(同展チラシより)

▼板谷波山が充実。会場中で最も多い7点の出品。昭和20年代前半から、昭和38年・最後の窯の作品まで見られます。作風も、乳白色のベールをかけたような波山カラーあり、それ以外もありで、よりどりみどり気味です。草花文茶碗は小品だけれど、両手で包み込みたくなるような繊細さ。儚げ。

▼他に、下村観山や吉川霊華による寿老2作、蓬莱山とか。橋本雅邦「蓬莱山水図」には、雪舟「秋冬山水図(冬景)」の縦線がひかれていました。ゆるくなった筆圧で。奥行きの表現に気配りあり。多分。
「菜蟲譜」も、こちらの展覧会に含まれていました。確かに「70歳前後以上の作品」。展示期間は10月2日まで。

▼佐野市に伝わる牧歌舞伎と吉澤人形の関連資料を展示。舞台の再現模型もあり。

▼牧歌舞伎は、江戸時代に佐野市牧地区へ巡業に訪れた歌舞伎役者・関三十郎によって伝えられたといわれているそう。関連の浮世絵展示が良いアクセント。吉澤人形は、佐野市葛生地区で江戸〜明治に行われていた人形芝居に使用されていたらしい。人形首の塗装の剥落に、月日の経過と芝居疲れを感じます。

▼円空展 9月17日〜10月16日
点数が少なく寂しいです。皆、太い透明チューブにて緊縛。倒れたら困るか。護法神像(だったかな)の非対称フォルムがよかった。(09-24)

▼「埼玉における人々のくらしと文化」を石器時代から現代にかけて辿る。 個人的埼玉イメージは埴輪に刀剣。なのだけど、複製の展示品が結構あって肩透かし。でも申告されなければ、複製かどうかわからん気もする。

▼印象に残ったのは「武蔵武士」〜「乱世に生きる」コーナー。広範なジャンルにわたる展示が肝。武士の信仰ということで、仏像があったりします。仏像たちは、最後のひと彫りを忘れたようなタイプが多いのだけど、その甘さが風変わりな魅力に転じているのでした。和み系で県内最古の平安仏「軍荼利明王立像」、穏やかな顔面に狛犬チックな邪鬼を擁する「毘沙門天立像」辺りが、その典型。違った意味でものすごいのは、鉄造の「阿弥陀如来座像」。型を合わせ損なったらしく、横から見ると頭部が段違いになっています。お脳がこぼれるでございます。こちらは県内最古鉄仏なのだそう。

▼「武士の心 板碑」展示もすごい。板碑とは供養のために建立した墓石の一種で、埼玉では多数見られるとのこと。博物館にも多量にあって、林立していました。中には、日本最古の鎌倉もの(原資料は江南町)や、末期に近いものが紛れ込んでいます。長身で、巨大梵字タイプは結構な迫力。

▼埼玉にも円空仏の展示あり。やはり緊縛されていました。埼玉の円空仏は、日光道中、日光御成道沿いに分布多し。

▼鯰絵 [前期]8月23日〜9月25日 [後期]9月27日〜10月23日
鹿島大明神が留守の隙に大鯰が暴れてしまいました、水を得た鯰の如く。要石から解放、安政の大地震発生。てことで、地震直後に鯰モチーフの版画「鯰絵」が出回るようになりました。 鯰絵画面には、ある種の心意気が感じられます。洒落にならない事象を洒落にして吹っ飛ばす。不安の雲もちりじりに。加えて、パロディ体質の発動もあるかも。血がうずくというか。
展示作品「庶民を襲う大鯰」は、襲いかからんとする片隅で、小鯰が子供にいたぶられてたり、蒲焼にされそうになって逃走したりしています。嘆く金持ち、高みの見物を決め込む雷神も良し。見立て作品も面白かった。鯰と地震は薬と化しており、大明神が効能を説明している。また、震災後の吉原に遊びに行く鯰や人助けをする鯰を描いた作品、鯰に願をかける図や御守鯰絵には、意味合いの広がりを感じました。
地震による浮き沈み描写が、ほんのり黒かったです。地震で財産を失ったり、強欲が過ぎ昇天した金持ちもいれば、地震のおかげで潤った職人たちもいる。「地震百万遍」では、金を儲けた職人たちが袈裟着用の鯰と百万遍。金は回るよクルクルと。(09-24)

08/27-10/02 府中市美術館

▼移民、都市、消費、記憶というテーマに分け展示。有名所の出品はあるけれど、46点と数が少々薄口。悪くはないのだけど、一押し足りません。

▼エドワード・ホッパーが3点。漂泊感というか、ホッパーにしか描けない風景。「踏切」にみられる、どこか抜け落ちた感覚みたいな。で、もう1点、あの作品は持って来れない…のでしょう。ウェイン・ティーボー「パイ・カウンター」は、パイが並んでいるだけな所と、クリームを塗りたくったような筆の跡と、色彩の層が地表に浮き出ているような画面が魅力。この人は風景も面白いので、持って来てほしかった。ホイットニー美術館にあるかは不明ですが。それから、ロス・ブレックナー「カウント・ノー・カウント」が、なんだか心地良かったです。落下する星空のよう。

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今後の巡回:10/08-11/06:金沢21世紀美術館 11/20-2006/01/09:北九州市立美術館 2006/01/28-03/12:郡山市立美術館

▼8月27日〜10月2日
青木繁・森田恒友による「春の夕」(明治38 1905)は、殆どが青木成分で満たされています。

▼牛島憲之記念館 平成17年度II期「海と空の風景」(前半)
館内に設けられているスペース。作品、関連資料や再現アトリエ、絵付けを行った陶器などで構成されています。
作品は、クリームがかった廊下に数点。照明がやたら明るい気もするのだけど、画風には馴染んでいます。
展示室では、テーマに沿った作品を幅広い年代よりセレクト。初期の鮮やかさ、いきなりのビュッフェ筆致が異彩を放っています。だけれども、表面を剥ぐと異なる要素は薄れ、いつでもどこでも本質的には変わらないことに気付きます。どんな時代の画面にも粒子が集められており、境界線が陽炎のように揺れている。粒子はどんどん細かくなり、面のようになったりもするのだけど。と、ここまで書いたはいいが、気付いたことが見当違いというオチが待ってたりして。どうしよう。どうしようもないけど。

08/30-10/16 江戸東京博物館

▼江戸東京博物館・常設展の「何でもある」を移行させた感じ。ポスター、パンフ、観光用品、写真、映画、幻灯原板、郷土玩具、はがきなど、旅に関するあらゆる資料が集まっています。所狭しと展示中。

▼途中、川瀬巴水展へワープ。という位、多数の展示がありました。豪華でやたら手が掛かってる海外向けポスター、旅情・郷愁を誘う版画集各種、水彩画など。版画は、雪の表現や線に対する拘りが感じられます。時が経つにつれ、線が細かく多くなっていったり。雪は、吹雪がジーンズ生地みたいになってたりする。






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