▼ロダン館と、期間ごとに顔ぶれが変わる収蔵品展を擁します。

▼西洋の風景画 16〜17世紀のヨーロッパ風景画 2月2日〜3月6日
油彩と版画の展示。異彩を放っていたのが、アレッサンドロ・マニャスコによる「山道の行列」。楕円のキャンヴァスに呼応し、歪む木々。ジグザグの山道に連なる人々。道は徐々に狭まり、画面には奥行きが生まれる。歪みとジグザグと奥行きの交叉に、視点がずらされました。幻視。(03/03)

▼若冲陳列は、平日の割に賑わっていました。仏像と写真もなかなか。他はがらがら。

▼京漆器老舗「美濃屋」コレクション 3月1日〜4月3日
京都の高級漆器店「美濃屋」について。江戸の創業時から昭和に閉店するまでに作られた、商品見本を中心に数十点を展示。 製品はオーダーメイド。客の要望と、それを具現化する店主と職人の間に生まれたもので、洗練されたデザインが多いです。ここらは、高級〜上流〜洗練という「山といえば川」的繋がりがあるかと思われます。個人的には、「稲垣家祝儀用蔵品」が好み。よく言われる、足し算、引き算のデザインという感じ。
明治時代に編み出された「七宝技法」を用いた作品や、明治の博覧会ブームより発生した「奈良漆器」など、時代の流れを反映した漆器群に興味津々。博覧会関連では、「漆見本軍配形衝立」の展示もあり。とりどりの見本が、形にはまりつつ立っています。巨大。「世紀の祭典 万国博覧会の美術」展では、オーストリア応用美術館蔵の同様見本を見かけましたが、何点も作っているのか。どちらも橋本市蔵によるもの。ウィーン万博の出品物を積み込んだまま沈没した、ニール号からの引き上げ品「色紙団扇蒔絵料紙・硯箱」もありましたが、美濃屋とは関係薄いような。それから、明治辺りになると、職人の名前が残るようになり、作家主義の芽生えを感じる次第。
当主の愛蔵品が、いかにもで。漆製の茶道具とは洒落が効いてます。茶碗の再現具合は絶妙。

▼気になった作品をつらつら:「釈迦八相図」(常楽寺・鎌倉時代)は7幅。本来は「涅槃」が最後にあったと思われるそう。だからなのか、この作品のすぐ後に「仏涅槃図」2作が展示されていました。補って完結か。内、長福寺の図は、南北朝時代作と言われているが宋画説もありな一品らしい。描写が細かく、色ののせ方が美しいです(3月1日〜3月27日)。永楽保全による安南焼を模した急須の、風合いや色彩などの写しっぷりに少々心奪われました。忠実さが命。輸出用柿右衛門の象さん香炉、装飾金具付き水注はレプリカ所望。(03/25)

02/20-03/27 栃木県立美術館

▼時と人物と地域にまたがる画風の伝播と、画人たちのつながりに主眼をおいた展覧会。近江の高田敬輔と下野の小泉斐を中心に、両者の間や前後に位置する画人たちを取り上げています。その顔ぶれは、京狩野に始まり高田敬輔、高田敬輔から曾我蕭白・月岡雪鼎・島崎雲圃へと続き、島崎雲圃は近江から下野へひとっ飛びで小泉斐に辿り着き、果ては谷文晁。多彩です。画人たちの間には、門人だったり、影響を与えたり受けたり、作品を借用したりされたりと、様々な関係が存在していたり。画風のバトンタッチも垣間見れます。
特に目に付いたのは、高田敬輔〜曾我蕭白辺り。ドラッグを注入したかのような山水や、人物描写に共通項あり。影響大。島崎雲圃を介しての鮎画・下野伝播も興味深かったです。鮎は、小泉斐が多数泳がせていました。

▼伝播とつながりが、縦糸と横糸の如く立体的に編み込まれ、展示として昇華されていました。企画や構成が生きており、作品も大変面白く、見応えある展覧会でした。おすすめ。(03/26)

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
巡回:04/23-05/29 滋賀県立近代美術館

▼コレクション企画:隅っこ 2004年12月19日〜3月27日
河口龍夫と榎倉康二を並べ《浸透する意識》。作品と言葉が等号に近付きつつ並んでいます。作品ありきで言葉がついてきたのか、その逆なのかは不明。拡がるしみが印象的。 《部屋の片隅》にあった、線幸子「1986―層IV」は、綿と幾何学の重なりの間に浮遊感が挟まっています。ふわふわ。しかし、微かに不穏だったり。 《生活の片隅》に、篠原有司男のモーターサイクル+コニーアイランド。存在や重量は、中央に鎮座。

▼隅っこじゃなくて気になった作品:橋本邦助「猫と螺鈿の箪笥」…螺鈿の青味を帯びた輝き。その再現に突っ込んで嵌ってしまったのかも。猫との取り合わせに妙味。 鶴田吾郎「炭焼く人々」…ゆるやかな情景と斜線な構図と桃色が好きです。(03/26)

02/08-03/27 資生堂ギャラリー

▼多方面からの影響を混ぜこぜにしつつ、少女フィルターという名の必殺技を使用。表面に絵具を絞り、フェルトや紙などをあしらい、所々立体化すれば、そこにはローラ・オーエンズの世界が。

▼元ネタは東洋美術か。動物画はピロスマニ?ちょっと違うか。こうもりは、意味関係なく描いてるんだろうなー。など、つらつら探りながら見ました。世界観や色彩など嫌いじゃないです。が、創造の源泉が透ける感覚は、面白くもありつまらなくもあり。諸刃の剣。(03/26)






topback