2003年10月
▼舟越桂、一色ちか子、小林孝亘、三沢厚彦、押江千衣子、鴫剛、曽谷朝絵、横尾忠則の展示。ドローイング、完成作(?)と様々な出品で、各人の現在と途中経過が見られます。今、どこに立っているのか。これからどこへ行くのか。 ▼横尾忠則はY字路継続中なのか。小林孝亘のドローイングは、相変わらず謎めいた手触り、どんな風に仕上がるのかな。曽谷朝絵の「corner」は本当にコーナー描いてて、目線が面白いな。とか思いつつ、眺めていました。ところで、植物以降の押江千衣子は、この路線で行くのでしょうか。(10/04) |
▼会場内を横断する布と、点在する椅子によるインスタレーション。藍色に染まり、霞に煙る山々は、細い糸で紡がれています。凛とした空気、夜と朝のあいだという感じでしょうか。 ▼作品と照明が合ってない気がしました。無理を承知で、ロウソクとかどうですか。危険極まりないですね。(10/04) |
▼型取りでおなじみのレイチェル・ホワイトリード。今回も本棚などの型取りが見られます。加えて、主の去った部屋などの写真展示もあり。 ▼いずれも、記憶の彼方から人の気配がしてきます。時は作品の中で止まったまま、人影は過去に向かい伸びている。記憶と現在、存在していたものと失われてしまったもの。雰囲気のある展示です。 |
▼斬新な構図、戯画、あそび絵など、視覚に訴える浮世絵が勢揃い。葛飾北斎、歌川広重の定番ものを含みつつ、寄せ絵、やったら体壊れるぞの影絵、この絵は何を表しているのでしょうか?の判じ絵、畳み絵など手にとって遊ぶもの、刀の鞘に映して見る鞘絵…多彩な展示です。摺物も見られます。手にとる系は実体験コーナーあり。 ▼絵師は、全体を通して歌川国芳が目立っていました。大活躍。個人的には、魚屋北渓が面白かった。奇怪な構図や表現。だけど、ちょっとユルイ所とか。 ▼想像力とサービス精神溢れる作品ばかり。こういう展覧会は、理屈抜きに楽しめてよいなぁ。ところで「現代」と言いつつ、奈良美智しかいないのですね。いや、いいんですけど。(10/04) |
▼初期から晩年にいたるまでの院展出品作をはじめとする代表作や秀作約60点を集め、画業の変遷をたどる。(同展チラシより) ▼習画時代〜赤曜会時代、狭山・川越・松江時代、荻窪時代の3部構成。初期は手がついていかないというか、まさに習作という感じ。それが、金地に南瓜や茄子、トウモロコシなどがてんこ盛りで葉がわさわさの「菜園」辺りから、独自の色が出てきます。同時に、繊細な表現が目に付くように(と言いつつ、「菜園」は結構ワイルドですが)。後期は、基本的な表現を継承しつつ、空間を生かした構図が見られるようになります。中でも「睡鴨飛鴨」は、空間に琳派が混じった作品で好みでした。それから、全体を通して動植物が愛らしいです。 ▼作風の移り変わりが掴める展覧会ではありました。が、所々、分岐点となった作品や見所のある作品が抜けています。それはある程度仕方のないことだと思う。でも、「虫魚画巻」の出品がないのは少々いかんです。日本画をなぞり、そのうち日本画に小茂田風味が加わるようになり、時が経つごとに小茂田風味は増してゆく。そして、「虫魚画巻」で小茂田青樹の世界が確立する。そんな、晩年に得た到達点であり、今後の展開を期待させた作品は、「小茂田青樹展」には必要なのでは。(10/25) |
▼2002年12月開館と、新しい美術館。郷土色強し。 ▼《小特集・小茂田青樹と仲間たち》 10月7日〜12月27日 ▼相原求一朗記念室 日本の風景…秋・冬 ▼他の常設は油彩や彫刻など。関根伸夫は金箔が光る画面と独自の作風が目をひくけど、それだけ。あとは印象に残らず。ところで、猪熊弦一郎が収蔵されているのは、相原求一朗が弟子入りしていた関係でしょうか。(10/25) |
▼タイトル通りの展覧会。キーワードは近代以降。それ以外には、特に共通点がない感じ。近代美術に関しては、明確な方向性を持ったコレクションではなさそうです。 ▼複数の出品があったのは、絵画では富岡鉄斎、工芸では宮川香山と板谷波山。ただし、鉄斎は扇子が主です。あとは、藤島武二が2点。内、「幸ある朝」は、果てしない厚塗りにびっくり。 ▼気になったのは、山田秋坪の「柘榴花白鸚鵡図」。真っ青な岩、オレンジ色の花々にグロ気味で凶悪顔のオウム。画面の埋まり具合、狂った配色、どことなく中華な雰囲気が混じり合い、異常さを醸し出していました。素敵。 |