2011年
11/02 「壁の裏に…」と電話…解体目前、救われた壁画
猪熊弦一郎(1902〜93)が制作し、旧ホテルフジタ京都(閉館)のロビーを飾っていた壁画が約30年ぶりに見つかったとのこと。ロビー改装の際にボードで目隠しをされたまま忘れられた存在になっていたが、ホテルの解体前に匿名の男性から「壁の裏に作品がある。解体するなら注意してほしい」との情報が寄せられ、所在がわかった。
猪熊弦一郎現代美術館などによると、1970年のホテル開業に合わせて制作された「都市流動」(縦2・9メートル、横14・7メートル)という作品。クロムメッキの鉄板10枚に直径1・5センチの穴を2000個以上開け、四角や楕円の幾何学模様を表現している。穴には赤や青、黄のアクリルをはめこんでおり、裏側から光を当てると、鮮やかに模様が浮かび上がるという。
読売新聞より。
新潟市が作家・坂口安吾にちなんで創設した「安吾賞」の第6回受賞者に、荒木経惟さんが選ばれた。市が4日発表した。
同賞は、同市出身で無頼派で知られる安吾にあやかり、社会・文化活動で「反骨と飽くなき挑戦者魂の安吾精神」を発揮した個人や団体に贈られる。荒木さんは、400冊以上の写真集を出版し、多くの人に感動を与えた点が評価された。
読売新聞より。
ドイツ西部ドルトムントのオストワル美術館で、展示中のオブジェの模様を清掃員の女性が染みと勘違いして拭き取るハプニングがあった。
被害に遭ったのは、80万ユーロ(約8600万円)の価値があるとされるドイツの現代芸術家マルティン・キッペンベルガー氏の作品「天井から滴り始めるとき」。木を組み合わせた高さ約2.5メートルの塔の下に、水滴の痕のような模様が描かれたゴム製のおけが据えられている。
美術館を管理する市当局によると、10月下旬にこの模様が拭き取られているのが見つかった。修復は困難とみられる。
時事通信より。
ロイターより。
東日本大震災の被災者を支援するため、村上隆さんら世界の現代美術家が提供した作品の競売が9日、米ニューヨークのクリスティーズで行われ、21作品が計875万6100ドル(約6億8千万円)で落札された。予想落札価格の500万ドルを大幅に上回った。収益は笹川平和財団など3団体に寄付されるとのこと。
村上さんの呼び掛けに賛同した奈良美智さん、曽梵志さん、マーク・グロッチャンさん、ジェフ・クーンズさんら著名作家が作品を提供。
共同通信より。
9日行われたサザビーズのオークションで、1980年に死去した抽象表現主義派の米画家、クリフォード・スティルの作品が同氏としては最高額の6170万ドル(約48億円)の高値で落札されたとのこと。
最高額が付いたのは「1949−A−No.1」で、2500万−3500万ドルの値が付くと予想されていた。またその直後に競りにかけられた同氏の「1947−Y−No.2」も予想値の約1・5倍の3140万ドルで落札された。同氏の作品のこれまでの最高落札額は2130万ドルだった。
前日のクリスティーズのオークションではロイ・リキテンシュタインの作品が、同氏の過去最高額で落札されていた。
時事通信より。 関連記事:「リキテンシュタインの「部屋全体が見えるが誰もいない」(1961年)に過去最高の33億円」(11月9日付時事通信)
サントリー文化財団は10日、第33回サントリー学芸賞の受賞者を発表した。
部門別の受賞者と作品  【政治・経済】井上正也「日中国交正常化の政治史」(名古屋大学出版会)、古川隆久「昭和天皇」(中央公論新社)【芸術・文学】大和田俊之「アメリカ音楽史」(講談社)、輪島裕介「創られた『日本の心』神話」(光文社)【社会・風俗】小川さやか「都市を生きぬくための狡知」(世界思想社)【思想・歴史】隠岐さや香「科学アカデミーと『有用な科学』」(名古屋大学出版会)、伊達聖伸「ライシテ、道徳、宗教学」(勁草書房)
産経新聞より。
歌川広重が晩年、びょうぶに仕立てるために描いたとみられる肉筆の水墨画風の浮世絵が新たに見つかったとのこと。
浮世絵を所蔵する川崎・砂子の里資料館によると、作品は縦約120センチ、横約40センチ。「武蔵多満川」と題され、月夜のもと、蛇行して流れる多摩川や山々、柳などの風景が幻想的に描かれている。広重の雅号「一立斎」の落款も押されている。
見つかった浮世絵と同じ構図の下絵が、英国の大英博物館が所蔵する広重の下絵帳にあるなどから、広重の作品と鑑定された。
共同通信より。「浮世絵は来年1月から川崎・砂子の里資料館で展示される」とのこと。
世界記憶遺産に登録された筑豊の炭鉱絵師、山本作兵衛(1892−1984)の記録画1点が、2005年3月に閉校した筑豊工業高校の資料の中から見つかったとのこと。作兵衛が高校側に直接持参したという話が伝わっていることから、今後、寄贈の経緯を調べる。
見つかった記録画は縦38センチ、横54センチ。炭坑の中でつるはしを持ち、石炭を掘る男性と、上半身裸で石炭をトロッコに積み込む女性の姿が描かれている。右下には「山本作兵衛 80才 昭和47年3月25日」と記されているとのこと。額に入った状態で発見され、額の裏には「寄贈山本作兵衛」「昭和47年4月吉日」とあった。
作兵衛作品の大半を所蔵している田川市石炭・歴史博物館によると、記録画は約2千枚あるとされ、これまでに1100枚近くが見つかっているという。
西日本新聞より。九州歴史資料館は「未公開の1枚」として、来年3月に一般公開する予定。
姫路市は18日、「平成の大修理」中の姫路城の大天守最上層で、四隅の壁の中から窓のかもいと敷居が新たに8カ所見つかったと発表した。最上層の全周が窓で囲まれる構造となり、市は「410年前の築城当初は、死角を作らず360度城下町を見渡す構想があったようだ」としている。計画は途中で変更され、完成時は塗り込められて壁になったとみられる。
神戸新聞より。
文化審議会は20日までに、東日本大震災の津波にのまれ消失した「茨城大学五浦美術文化研究所六角堂」など登録有形文化財の建物6件の登録を抹消するよう中川正春文部科学相に答申した。近く答申通り告示される。大震災で被災した登録有形文化財の登録抹消は初めて。
六角堂は仏堂と茶室を融合させた9平方メートルの六角形の建物で、明治時代に近代美術を指導した岡倉天心が設計、1905年に完成。海に突き出た岩場に立っていたが、津波で消失した。
米国人建築家ヴォーリズ設計の「日本基督教団福島教会会堂」は地震の揺れで大破した。
共同通信より。
世界的に有名な日本人建築家が手がけた設計図の海外流出を防ごうと、文化庁は来年度にも、設計図保管専門の資料館を湯島合同庁舎(東京都文京区)に設置するとのこと。建築家個人や大学などが保管する設計図についても所蔵場所を記録し、海外で高く評価されている日本発の建築文化の「継承」を進めていく。
文化庁によると、保管対象は、西洋建築を中心とした明治以降の設計図、関係書類や模型など。特に、世界の建築文化に影響を与えたものを選ぶ。
読売新聞より。
山梨県は22日、日本で未公開のミレーの油彩画「古い塀」を購入すると発表した。価格は1億8732万円で、全額を国の交付金でまかなう。
「古い塀」は1862年ごろの作品。ミレーが暮らしたフランスのバルビゾン村の風景画で、森や石垣、シカなどが描かれている。大きさは縦50・8センチ、横61・6センチ。
県立美術館はミレー作品の収集に力を入れており、「落ち穂拾い、夏」「種をまく人」など68点を既に収蔵している。
産経新聞より。
愛知県は22日、県美術館の収蔵品として、フェルナン・レジェ(1881〜1955)の「緑の背景のコンポジション(葉のあるコンポジション)」を2億円で購入すると発表した。この作品は1931年に制作された油彩画(縦92センチ、横73センチ)。
毎日新聞より。「12年4月に愛知県美術館で一般公開する予定」とのこと。
鳥取県立博物館で、セルロイド製品が劣化して強い酸性ガスを出し、周囲の収蔵品を傷めていたことが元興寺文化財研究所(奈良市)の調査でわかった。
同博物館は1996年に県民から、木箱に入った江戸〜昭和時代のかんざし、くしなど約120点を寄贈された。最近、調べたところ、さびないはずのアルミニウム製かんざしに白い粉が付き、整理のために付けていた紙タグももろくなっていた。このため、同研究所に調査を依頼していた。
その結果、紙タグは水素イオン指数(pH)が1に近い強酸性を示した。「べっ甲」と紙タグに書かれていたかんざしやくしなどの多くがセルロイド製と判明し、これが光や酸素などの影響で元のセルロースと硝酸に分解する劣化現象を起こしていた。その際、強酸性ガスを発生し、セルロイドや金属、紙の組織を壊して、ひび割れさせたり、もろくしたりしていた。
読売新聞より。
岡本太郎さん(1911〜1996年)が作った巨大彫刻「無籍(むせき)動物」が、千曲市戸倉のかつて存在した場所から、いつどこに消えたのか分からない状態になっているとのこと。代表作「太陽の塔」の約10年前の1959(昭和34)年に制作され、翌年、旧埴科郡戸倉町に開園した遊園地に設置された作品で、遊園地の閉園後に取り壊されたとの話もあるが、生誕100年の記念事業で調査した専門家も、正確なことは把握できていない。
作品は大小2体作られ、ともにコンクリート製。小さい作品(高さ約1・4メートル、幅約1・4メートル)は今も、千曲市が運営する温泉施設「白鳥園」敷地内にある。不明なのは大きい方で、調査した元川崎市岡本太郎美術館学芸員の大杉浩司さん(51)は高さ約4メートル、幅約5メートルと推定する。
大杉さんによると、それまで主に壁画に取り組んでいた岡本さんが初めて挑んだ本格彫刻で、美大生3人を助手に雇い制作に没頭したという。
大きな作品は、65年からの松代群発地震の揺れで壊れてしまったとの内容を故岡本敏子さんが手記に残している。だが、裏付ける証言は得られていないという。
信濃毎日新聞より。
兵庫県は28日、西脇市出身の美術家横尾忠則さんから、絵画や版画、ポスターなどほぼ全作品の寄贈・寄託を受け、コレクションを収蔵・展示する拠点を県内に整備する方針を明らかにした。収蔵・展示施設については旧県立近代美術館で、現在は県立美術館王子分館となっている「原田の森ギャラリー」(神戸市)を候補として挙げた。開館時期や事業費について県は「できるだけ早い開館に向け、外部の有識者らと相談を進めたい」とするにとどまった。
神戸新聞より。
天皇家ゆかりの天台宗の寺院「般舟院」(京都市上京区)の土地と建物が競売に掛けられ、北海道の不動産会社が落札していたことが29日分かった。所蔵する重要文化財の仏像2体も一時所在不明になっていたことも判明。天台宗は、承認を得ずに寺院の土地などを担保に入れたとして、元住職の僧籍を8月末に剥奪したという。
天台宗関係者などによると、同院の土地と本堂は元住職の借金の関係で担保に入れられ、北海道函館市の不動産会社が8月、競売で約1億3000万円で落札した。
9月初旬には、同院が所蔵する重文の仏像「木造阿弥陀如来坐像」(高さ62センチ)と「木造不動明王坐像」(同約81センチ)の2体が行方不明になり、京都府警が同月下旬、文化財保護法違反容疑で元住職の知人宅を家宅捜索し、発見したという。
寺院関係者によると、他にも同院から絵画や古文書などが数多くなくなっており、元住職が勝手に売却したとみられている。
時事通信より。






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