2001年11-12月
▼酒井抱一展というより、酒井抱一と仲間たち展です。 ▼もちろん抱一自身の作品もありますが、家族、円山四条派、南蘋派、鈴木其一など、周辺の作品や資料が多かったです。抱一の生涯、影響を受けた人物・画法、人となりが、展示によって具体的に表されていました。 ▼解説を読みながら展示品を眺めていくと、抱一の人物像や交友関係がおぼろげに浮かんでくる感じ。尾形光琳の百年忌法要と記念展覧会の主催をしたり、光琳、乾山兄弟の収録本を出版したりと、師弟愛の図式も微笑ましい限り。 ▼抱一の全体像が見えた点では、面白い展覧会でした。(11/03) 作品:酒井抱一「雪中檜小禽図」 |
▼従来の枠からはみ出た造形を、既成概念抜きの価値観で見出し、新たな美術として認知する。そうした日本美術における発見史をたどった展覧会です。 ▼「発見者」は柳宗悦、岡本太郎、辻惟雄、赤瀬川原平の4氏。 ▼他に「わびの革命」として陶器、「遅れて評価されたもの 近世の宗教美術」として円空、白隠、仙高ネどが紹介されていました。 ▼展覧会には様々な形があります。誰もが認める名画を存分に見せてくれたり、大規模な回顧展だったり。もちろん、これらの展覧会はなくてはならないものに違いありません。でも同時に、小ぢんまりだけど「企画で勝負」みたいな展覧会に出会えるのも、美術館巡りの醍醐味なわけで。「眼の革命」は、まさに「企画で勝負、なおかつ勝利」という、醍醐味がぎっしり詰まった展覧会でした。 (11/04) 作品:木喰「地蔵菩薩像」 曾我蕭白「群仙図屏風(部分)」 |
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▼20世紀のイタリア美術を、100点の作品でふり返る。 ▼時代の流れに沿った展示。時代背景やムーブメントごとに区切られ、作品が並べられていました。なにせ1世紀分ですから、出品作、作家共、かなりバラエティに富んだ顔ぶれ。色々ありすぎて、大急ぎで20世紀をふり返らされてる感覚に陥りました。 ▼作品は、こちらが勝手に顔馴染みなモディリアーニ、デ・キリコ、モランディが何点も来てました。モディリアーニが描いたキスリングの肖像画の展示も。それから、知識ゼロのイタリア現代美術が色々観られて、いい経験になりました。(…知ってるのフォンターナ位) ▼ところで、振動するはずの作品が故障中でぴくりともしなかったのが…動くこと含めて、ひとつの作品じゃないんですかね。あと、展覧会の内容には無関係ですが、いかにも触ってみたくなりそうな作品に「お手を触れないで下さい」札がついてて、おかしかったです。(12/02) |
▼沈南蘋に影響を受けた、いわゆる南蘋風と呼ばれる絵画を集めた展覧会。本家の沈南蘋もありました。 ▼展示区分は、一時的南蘋風、中国、長崎、上方、江戸、秋田蘭画など。殿様芸というのもあったりします。 ▼作品は、タイトル通りの異国な雰囲気。妙に濃密な花鳥画は、観ていて大変面白い。左に載せた、熊斐の鯉なんて何ともいい味わい。でも、全体的には玉石混淆という感じでした。 ▼南蘋風の作品をまとめて観られるなんて、そうそうないことでしょう。そんな機会を作ってくれて、ありがとうな展覧会でした。が、受けはあまり良くなかったのでしょうか。最終日前にもかかわらず、かなりすいてました。単に、前半の方が込んでたとか?(12/08) 作品:沈南蘋「花鳥図(部分)」 熊斐「登龍門図」 若冲と沈南蘋、鶴亭の作品がありましたので、比較してみました。雰囲気や描き方が似てる気もするけど、若冲は若冲だよなーと思ってみたり。 |
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▼江戸末期から昭和初期までの着物を中心とした展覧会。 ▼着物に半襟、帯、帯留まで取り合わせ、コーディネート。それをマネキンに着せた展示が、なんというか即売会の香り。値札がついてそうであります。 ▼会場をまわってる間、岩下志麻と高島礼子の顔が浮かんでは消え、浮かんでは消え…守備範囲外の事柄につき、これ以上のコメントは差し控えさせていただきます。終わり。招待券があったからって行くもんじゃない。(12/08) |
▼最終日に行ったら人だらけ。入場まで並ばされて待たされて、入ってからは芋洗い状態。暑くて頭がボーッとするし、最初から最後まで観るどころではない状態でした。 ▼そんな中、唯一観ることに引き戻してくれたのが「観音菩薩立像(夢違観音)」。言葉では形容し難い表情の持ち主で、おだやかな眼差しに思わず昇天。というのは嘘ですが、対面している間、むかっ腹の会場をきれいさっぱり忘れさせてくれたのは事実です。柔和だけど強い存在感。 ▼あとは、ずらりと並んだ南無仏太子像を見比べ、楽しんでみました。一体一体の表情の違いに、作者の聖徳太子に対するイメージが見えるよう。ところで、凶悪顔の太子像がいるんですけど。 ▼とにかく、聖徳太子に関するありとあらゆるものが展示されてました。仏像、絵画はもちろんのこと、憲法十七条の版木なんてレア物?も有り。よく集めました。すいてる日に行ったら、もう少し楽しめたかもしれません。(12/16) 作品:「観音菩薩立像(夢違観音)」 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - |
▼企業コレクションを紹介する展覧会。4回目を数える今回は、吉野石膏が100年の歳月をかけて収集した作品の展示です。 ▼顔ぶれは、タイトルの御三方に加えセザンヌ、ドガ、ピカソ、マティス、カンディンスキー…書ききれない位巨匠がずらり。王道。ジャンルは、印象派やエコール・ド・パリが中心です。 ▼印象派やシャガールは、いい意味で一息つけるような作品が多かったです。この分野に、最もコレクション力をこめてるようです。推測。そういえば、ローランサンも結構ありました。一方、ピカソ、マティス辺りはあまり…。1点ずつしかありませんでしたし。 ▼印象派好きな方におすすめ、という感じの展覧会でした。加えてシャガール。つまり、タイトルそのまんまということです。(12/16) 作品:ポール・セザンヌ「サンタリン村から見たマルセイユ湾」 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - |